第24話 自宅で告白(終わり)
雨が降ったことで、海水浴に行くのは中止になった。
「雨が降って、とっても残念だったね」
「昨日は晴れといっていたのに」
夕方に見た天気予報では、晴で降水確率0パーセントとなっていた。それにもかかわらず、雨が降ってしまったのである。天気予報を長いこと見てきたけど、ここまで外れるのは記憶になかった。
「私の水着を見たかった?」
豊は正直に頷くと、美穂に頭を撫でられた。
「正直で取ってもよろしい。ご褒美として、とっておきの水着を見せてあげるね」
美穂は服を脱ぎ始めると、豊は条件反射的に視線をそらす。
「二人きりだから、こっちを向いてもいいよ」
豊はおそるおそる振り向くと、美穂の裸体があらわになっているではないか。好きな女の子の裸に、男としての本能が働いてしまった。
「私の体は大きくなった?」
裸の状態で、さらっと話しかけてくる女性。男に襲われる展開は、頭の中にないのだろうか。
「美穂さん、服を着よう」
美穂にまずいことをいったのか、露骨に唇を尖らせる。
「私の裸は魅力がないのかな。見られないほどひどいものなのかな」
「そういうわけでは・・・・・・」
「どうして、服を着ようなんていったの」
「美穂さんの裸は、僕の脳にとって刺激が強すぎるから・・・・・・」
「どんなふうに刺激しているのかな?」
「脳で触りたい、触りたいっていっているよ」
美穂は満足そうな表情を見せる。彼女の意にそぐった回答だったことに、安堵の息を漏らしていた。
「ここでいうのはおかしいけど、前から伝えようとしていたことがあるの」
「美穂さん、話をする前に服を着てほしい。裸の状態では、性的刺激が強すぎるよ」
美穂の裸が気になって、話を聞くどころではなかった。
「そうだね。刺激的な部分を隠してからにするね」
美穂は下半身、胸の順番に水着をつける。露出を少なくしたことで、性的興奮はやや収まった。
美穂は鼻で息を吸ってから、
「豊君のことが大好きです。交際していただけないでしょうか」
といいきった。告白をしようと思っていたのに、先をこされた格好になった。
美穂は緊張しているのか、胸に手を当てていた。豊は勇気づけるつもりで、そっと手を差し伸べる。
「美穂さん、ありがとう。僕も付き合いたいです」
美穂は息を三度ほど吸ってから、空に吐き出していた。
「豊君、ありがとう」
「美穂さん、これからもよろしくね・・・・・・」
「うん。ずっと付き合えるといいね」
土砂降りの雨は既にやみ、空は太陽をのぞかせている。告白をさせるために、わざと雨を降らせていたのかなと思った。
遊びでいろいろな男と交際した女が、破局後に復縁を迫ってきます。断り続けているうちに、勝手に地獄に落ちてくれました。 のんびり @a0dogy69
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