第5話 登の恋愛理論
登(のぼる)は、遠くの山を見ながら、キザっぽく語り始めた。
「女の子のハートをつかむのは、まずは経験だ。
チャレンジすることだ!
価値観は人それぞれだから、みんながみんな同じ話をして盛り上がる訳じゃない。相手の目を見て、語りかけるんだ!そして反応を見て、時にはユーモアを混ぜて笑かすんだ!
何度失敗しても関係ない!
あの手この手で、楽しませるんだ!
そして、まずはデートに誘うんだ!
2人きりの空間こそ、2人の心の距離を近づけることが出来る!……今日は以上だ!しっかり復習するように!」
僕は、ビックリした。同い年の男の子の考え方ではない!僕はビックリして、
「の、登!お前は、も、もしかして仙人か何かの生まれ変わりか?」
「ふむ、いかにも。よく気づいたね、優太君!
ってバカかっ!そんな訳あるかい!小学2年の頃より、毎週都会に兄貴に連れて行かれて、ナンパしまくったからよ!それでこんな男になってしまったのさ!」
登は泣く仕草をしながらも、目は笑っていた。
僕は登をからかいながら聞いた。
「登先生!初デートは、カラオケとかでもオッケーですか?」
「うむ、初デートでカラオケとは、少しハードルが高いなぁ。そもそも、彼女がカラオケ好きかどうかは、きちんとリサーチすること!」
「な、なるほど!勉強になります!登先生!」
先生と呼ばれ、気持ちが良くなったのか、どんどん登は饒舌(じょうぜつ)になっていく。
「まずは趣味や、今ハマっていることを聞くこと!これが基本だね!でも焦らず、一個ずつ聞くことだよ!コツコツとね。これ勉強も一緒!って学年最下位の私が言っても、説得力ないけどね〜残念!」
登との恋の授業は、そのあと数時間続いた。
そして、待ちに待った宿泊研修会の日を迎えた。
2度目の初恋は夕暮れと共に イノー|青春ファンタジーKindle作家 @inoh1981
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