第8話「寝起き②」
「おはようございます。師匠」
「どうしました」
「えっ。何でお互い服を着ていないのかって?」
「そんな、私の口から言わせないでくださいよ」
「昨日あんなに仲良くしてたじゃないですか」
「……もしかして覚えていないんですか?」
「ふふ。あの時と違って、昨日は本当に夫婦の営みをしていましたよ。あなた」
「ほら。そろそろ本当に起きてください」
「あの時と違って昨日はお酒も飲んでいないんですから」
「それともおはようのキスを待っているんですか?気付かなくてすみません」
「むぐっ。手で私の顔を押し返さないでください」
「やっぱりおはようのキスは目を覚ます前にしないと難しいですね。いえ、なんでもありません。独り言です」
「改めて、おはようございます」
「あなた。一つだけ、前々から気になっている事があるんですけど」
「結婚して十年近く経つのに。どうして毎朝私を見て驚くんですか?」
「三人も子供産ませておいて、今更恥ずかしがる部分は何もないと思うのですが」
「えっ。可愛すぎていつも見惚れてしまう?う、嬉しいです。というかこの十年で初めて聞きましたよ」
「ずっと思っていたって。ちゃんと言葉にしてください」
「ずっと聞きたかったんですよ。そう言う言葉」
「結婚前よりは色々と言ってくれるようになりましたけど、まだまだ足りていません。そういう私への気持ちはきちんと口に出してください」
「で、では、いい加減に行きましょう。子供たちも待っていますよ」
「……………と言いたいところですがやっぱり」
「えいっ」
ベッドに二人で倒れ込む音。
「私は思っている事を素直に言うようにしています」
「これもいつも言っている事ですけど」
「あなた。私はもっと貴方の子供が欲しいんですからね。早く四人目を作りましょう」
師匠(夫) 38歳。
弟子(妻) 29歳。
二人のとある日常の一コマ
弟子との日々 @kunimitu0801
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