4 ーただ皆のように過ごしたかっただけー

朝目が覚めれば、俺は、いつもと違う景色で目が覚めていた

(、、、あぁ、そうか、俺は熾月の家に泊まったのか)

結局あの後、俺は熾月の言葉に安心して、泣き疲れて眠ってしまった

「申し訳ねぇな、、、出会ったばっかなのにこんな、、」

苦笑交じりにそんなことを呟いていると、部屋のドアが開いて、聞きなれた声が聞こえてくる

「おはようKanoa~、起きてたんだね。適当に朝ごはん買ってきたけどアレルギーとかなかった?」

(人のいる生活って、こんなに幸せなんだなぁ、、)

「、、、うん、大丈夫。あ、お金いくらだった?」

「いや、大丈夫だよお金は!」

いつもの食事に人と量が増えただけだしね~!と元気な笑顔でそんなことを言う彼

やはり、俺は、人のやさしさに触れたかったのだと、思う

こんなに涙もろくはなかったのだが、、

「よし、こんな感じかな~ ちょっとだけ俺の作ったのもあるから、おいしくなかったら無理に食べないでね」

そう言う彼が並べていく皿の中には、どういったって食べたくなるような食べ物ばかりだ

美味しくないモノなんてあるんですか、、?と問いたくなってきた

「じゃあいただきますしようか」


            『頂きます』

_______________________

「Kanoa準備できた?」

「は~い、もういけるよ」

と、制服を着て必要なものを持ち玄関へと出ると、すでに熾月が待っていた

「熾月は今日もあそこ行くの?」

「いや、今日は定期テストだからいけないかな。」

「、、、そっか、」

「、、、、大丈夫だよ、午後の日程ないから、テスト終わったら行ける」

テンションの下がっている俺の行動を察してくれたのか、欲しいと思っている言葉をくれる

「ッ、!なら、俺も昨日の場所で待ってるね!」

何時もなら見せないテンションで、そんなことを言う

「ん、ほらもう行きな、遅れるよ。」

そういわれたので、熾月と別れて学校へと向かう

今日はだいぶ気分がいい

そんなことをのんきに考えていれば、急に腕をつかまれる

(ッ⁉誰ッ!)

「、、、お前、桐谷ノアか?」

掴んだのはフードを目深く被った男子、、、、生徒会の伊原東亜イハラ トウアだった

「せッ、生徒会の役員様がどうしたのですか?」

あくまでもこの学校の最高権力者である生徒会の集団に逆らわず、そして媚びも売らないように気を付けて行動をする

「来い」

そのまま手首をつかまれた状態で連れていかれる

「え゛ッ、ちょっと待ってください、!」

「うるせぇ、生徒会室入るぞ。藍~連れてきた~」

そのままの流れで生徒会室へ入る羽目になってしまった

(、、、、陽キャの方々荒れるよなぁ~ 今日何されんだろうなぁ。)

遠い目をしながらそんなことを考える

この人たちは本当に一般生徒の苦労というものが分からないんでしょうか、生徒会に目を付けられる=学園生活終了 と言っているのと同じだなどと考えていると、生徒会長に声をかけられる

「桐谷ノアさん、来てくれてありがとう」

と、万人受けしそうな笑みを浮かべて話しかけてくる生徒会長

正直な所は、キモイ

「えぇ、生徒会の方に来いと言われれば一般生徒に拒否権はありませんから」

イライラしているが、それをぶつけると極刑が下るので皮肉を込めて言葉を贈る

「さぁ、君も『授業を受けたいと思うし』本題に入ろうか

               君は、桜崎ユリアの事をいじめているようだね?」

「あ゛?」

阿保みたいなことを聞かれて、思わず素の自分が出てしまった

「事実、桜崎さんは刺傷痕や打撲痕、精神的ダメージを受けてカウンセリングを受けている。君にされたと言っていたぞ?」

「ッ、、、そうですね、やっていると思います?

やっぱり生徒会って頭ごなしに否定と肯定をぶつけるから嫌なんですよね

顔が良い?頭が良い?先生から好かれている?

もういいわ、だから何だ糞どもの集まりじゃねぇか」

と、限界突破をして罵詈雑言を投げていると、横から拳が飛んでくる

「お前みたいな授業も受けずに遊んでいる屑、信頼されると思ってんのか⁉

 『まぐれで』学年トップを保持しているようだが、それも姑息な手段を使って得た立場だろう⁉」

、、、、こいつは、何を言っているのだろう

学年トップだって、授業を受けないでいい立場だって、自分の努力で得た立場だ

一人で、こつこつと努力を重ねてきたんだ

だから、俺はこの立場に立っているのに

「、、、お前にはわかんねぇだろうな!!

俺だって、皆のように普通に過ごしたかったよ!

ちやほやされて?失敗もしてなくて?一般生徒みたいな努力もなんもないでここに立ってるんだろう⁉

俺は死に物狂いで努力してこの立場に立ってるんだよ!あのぶりっ子も努力しないで人の事貶すだけだけど、俺は、、」

怒号混じりに永遠と話していたが、どうやら無駄なようだ

生徒会の会員に取り押さえられる

「、、、君の言い分はよくわかった、暫くの間は謹慎しているように」

もう出ろと言わんばかりの声音で淡々と処分を告げる生徒会長の柏原藍カシワバラ アイ

(言われなくとも、出るよこんな所)

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ベニゴアと黄色いチューリップの演劇 銀狼 @Hatune2512

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