第9話 最終回 さよなら? お姉さん
今までありがとう。
ここまでお部屋がキレイになったのも、キミのおかげだよ。
自分では、棚なんてどうしようもなかった。
忙しくて、全部押し込んで。
キミに全部、押し付けちゃってたよね。
ごめん。
やだあ、どうしよう!?
ダメダメダメ! 泣いちゃダメ! 明るくお見送りしないと行けないのに!
私はお姉さんなんだから! しっかりしなきゃ。
ホントに、ダメ……。
ごめんね。混乱させちゃって。
そんな。一緒に暮らせて、楽しかった。
これからだと思っていたのに、お別れだなんて。
ありがとう。こんなポンコツに付き合ってくれて。
ホント私、ダメダメだあ。うわわああん。
ふう、落ち着いた……。
じゃあ、今まで本当にありがと。
就職先でも、元気でね。
辛くなったらさ、いつでも遊びに来ていいから。
約束! 絶対! ね!
ねっ!
*
(ヒールを鳴らす音。あなたの目の前でストップ)
え、キミが、新人の?
そう。
コホン。
私が、この部署の主任です。
あなたの教育係として、配属されました。
今日から私が、あなたの直接の上司になります。
気軽に、「
ただし、家とは違ってビシビシ鍛えますので、そのへんは覚悟しておいてくださいね。
*
(缶ビールを開けて、飲む音)
はあ~っ。
お仕事お疲れ様ぁ。
まさかキミが、後輩ちゃんの代わりに就職してくるなんてねえ。
中途採用でハンパだろうけどさ、感謝してる。会社としても、私としても。
できる後輩ちゃんだったから、どうにかして優秀な人材をって思っていたんだけどさ。
さっすが課長。見る目あるわー。
どうだった、新人研修は? 大変だったよねえ。
すごかったでしょ。私のネコカブり。
ひっどいもんよ。
私も毎日、課長の監視をかいくぐるのに必死で。
その反動が、このザマってわけ。
(そばにあった下着を持ち上げて、落とす音)
ね? 部屋がまた散らかっちゃったの。ホント私って、要領悪いんだよ。
やっぱり私、君が側にいないとダメみたい。
だから大家さんに頼んで、キミと一緒に暮らす契約しちゃった。
キミのお母さんの了解も、得てるよ。
すっごい喜んでたぁ。
これからもさ、片付けよろしくね。
もちろんさ、片付け以外のことも……。
ちょっとソコ、目をそらさないっ!
(おしまい)
バリキャリの皮を被った子供部屋お姉さんのお世話を頼まれたが、同居するとは聞いてないっ【第2回「G’sこえけん」音声化短編コンテスト ASMR部門】 椎名富比路@ツクールゲーム原案コン大賞 @meshitero2
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