KAC20247 墓悪魔です①「墓に色をつけた(しかもレインボー)ら怒られた」ので、「墓じまい」をしたい。

冒険者たちのぽかぽか酒場

第1話 「先輩?そういうの、いらないんで」そう言われてもどうしようもない、「墓じまい」の問題。悪魔目線で考えてみました。

墓参りシーズンに、こんな子もいた。

「墓参りシーズンは、悪くないと思う。なかなか会えない親戚の兄貴とか姉貴に、会えるから」

でも今は、そう思う子も減ったか?

少子高齢化の他、サクッと顔を合わせられるSNS化の影響か。

「大切なのは、俺らが生きること。先祖のことを考えているひまはない」

それもある。

 「お前、帰省するの?」

 「うん」

 「何で、急に?」

 「先祖の墓参りで」

 「会議、欠席するの?」

 「はい」

「無理じゃね?」

 「え?」

 「だって、お互いに非正規」

 「あ、察し…」

 「墓に入るのも難しいし、墓をお参りするのも難しいんだな」

こうして、田舎の墓を管理できる人がいなくなり続けていく。

「墓じまい」の、はじまり…。

俺なんか、さ。

この前、悪魔パワーで、さ。

墓に注目させたくて、さ。

人間どもの墓を、レインボーな色に塗ってやったらさ。

悪魔界で、先輩にぶっ飛ばされましたよ。

高齢者は、さわぐ。

 「墓じまいだと?先祖に申し訳ないと、思わないのか?」

 それに反発する、若い世代。

「はい?墓参りって、自己満足イベントなだけじゃないの?」

上手く帰省できても、「誰が墓を管理するのかで」親戚大もめ。

 「先輩?墓参りって、金の問題がからんでいるんですよね」

 「墓は、基本的に転売できないことになっている」

 「そういうの、いりません」

 「俺ら悪魔も、頭を下げ、魔王様に帰省の時間をいただく。金とともに、有効に使いたいよな」

「ですね。たとえば、墓から遺骨を取り出して別の墓に移すのって、金も手間もかかります」

「墓からとりだした骨って、日本郵便のゆうパックで運んでもらえるらしいぞ」

 「…」

 「他の運送会社だと、ダメ」

 「…先輩?魔王様は、墓の問題についてどう思ってらっしゃるんでしょう?」

「…そうだなあ」

「先輩!魔王様に、聞いてみます!」

翌日。

「魔王様?墓参りから、戻りました。…魔王様は、どのような形で葬られたいですか?」

言ったら、黒こげ。

墓参りシーズンを、大切にね!


 

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