【考察】〝Cフラットの恋〟畔戸ウサ様作品について

 ……新作書く前に、検証しなければいけない作品がありました。


 そう、このコラムで取り上げさせて頂いた、最終選考まで残ったのに最後に大賞に選ばれなかった問題作〝Cフラットの恋〟です。


https://kakuyomu.jp/works/16817330662280444868


 先日すべての章がアップされ、最後まで読むことが出来ます。


 なお畔戸様と私には何の損得の繋がりはなく、この小説を強く推すとかそういう意図は御座いません。あくまで〝最終選考まで残ったのに大賞を逃した作品〟を検証したいがゆえに取り上げております。予めご了承ください。


   ◇


 とはいえ全部読了したのですが、正直いろいろ驚きがありました。


 まず最初に、まちかりはBL小説を「ナメていた」としか言いようがありません。海より深く反省します、ゴメンなさい。


 まちかりが考えていたBL小説は、まさにエロのための小説でした。ストーリーなんておざなりでシチュエーションが違うだけ、男性二人が時と場所も省みずエッチに至ればそれでいいのかと思っていました。


 しかし畔戸様の小説は違いました、これはエロ小説などではありません!

 ガチです! ガチ小説です! 大事なものを失った人々の嘆きと悲しみと再生の物語です。


 微エロはすでに入っていますが、味付け程度です。そうですね……カレーライスを食べようとしてご飯とカレーを混ぜたらルーの下に目玉焼きが入っていた、ぐらいでしょうか? ……すいません,解り難いですよね。でもそのぐらいに思えるほどちゃんとした小説です。


 畔戸様の解説文によれば、〝エロ〟というのは最後の一線のことだそうです。未成年の方が読んでいるといけないので、説明はしません。詳しく知りたい大人の方は、畔戸様のエッセイをご覧ください。


https://kakuyomu.jp/works/16817330662994934929


 何がすごいかというと、恋愛小説としてよく出来ています。いや、よく出来ているとかいうレベルではありません。非の打ちどころがありません。さすがに編集部様から「構成が素晴らしい」と評価されるだけのことはあります。


 しかし、大賞には届かなかった。


 畔戸様はその理由を「エロが無かったから」と言ってらっしゃいました。


 それに対してまちかりは「あとからエロぶち込めばいいのでは?」と思ったものです。実際に読ませて頂いて、それも不可能ではなかっただろうこともわかりました。最後のところで、主人公が「教えてやるよ」と一言いえばエロへの流れは出来てしまいます。


 だけどしなかった。畔戸様はそこで確信犯的にエロへ話を持っていかなかった。


 編集部様も悩んだと思います。エロぶち込むことは不可能ではない、しかしこの構成で進んできた小説に、とってつけたようにエロぶち込んで果たして売れる小説になるのかどうか? 畔戸様のこの作品が最終選考に残った理由も何となく解ります。


 エロぶち込みたいけど、至極真っ当で完成度の高いこの小説にぶち込んで良いものかどうか、編集部様最後まで悩んだのではないでしょうか?


 結局、出来なかった。エロぶち込もうとしてもとってつけたようなエロでは、この完成度を持つ小説の出来がぶち壊しになる。最終選考まで悩んだあげく、ついに編集部様はあきらめたのだと思います。


 もう一つ問題になったのは登場人物の年齢だと思います。さすがに18歳以下のキャラクターにエロは……ねえ……。


 残念ながら畔戸様の作品は大賞を逃してしまいました。畔戸様サバサバしていらっしゃいますが、まちかりだったら放心してしまうかもしれません。


 読ませて頂いて、BL小説とかジャンルの違いはあっても良い作品は評価されるということが判りました。そうすると今度は大賞を取った作品が読みたくなりました。探してみましょう。


 畔戸様、有難う御座いました!

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