第12話:実は公募のあり方を懸念しております。【考察】
ラノベのマーケットが、7年で半減していることを書いたエッセイがカクヨムで評判になっています。実はまちかりも読みました。
ただし、データの裏打ちがなくとも、多くの方がラノベの凋落を実感していると思います。
何しろヒット作がない。〝涼宮ハルヒの憂鬱〟や〝灼眼のシャナ〟のころのようにメディアミックスの乗ってアニメ化され、オタク界隈を騒がせたような作品は皆無に等しいと思います。
デビューして書籍化された書き手の方も、忸怩たる思いをしていらっしゃると思います。
「こんなはずじゃなかった! 書籍化されて、アニメ化されて、印税で豊かな暮らしが出来るんじゃなかったのか?!」
作家の方の怨嗟の声が聞こえてきそうです。
実はまちかりがこのコラムを書いているのは、書き手側の皆様に選考者=編集者様側の思惑を分析して示すことだけではありません。編集者様側にもご一考していただきたくて書いております。
「素人が偉そうに」「若輩者は引っ込んでいろ」とお考えになるでしょうが、実はまちかりは数千年の年を経た妖亀です。人間に変化して、いろいろな企業の企画部に所属したこともあります。そんな年を経た妖怪の言葉にも少しは真実があると思いますよ?(妖亀の話は冗談です)
編集部様が望む小説のあり方は第9話で示しました。
①あまり複雑ではない“普通の”世界観の中で
②そのキャラを追っているだけでもいい、とても可愛い女性キャラが出ていて
③あまり特別でない“普通”のイベント(部活など)の中で
④銃とか普通の人に馴染みの無い道具を使わずに
⑤早い段階から事件が起こり、話が進んでいく。
このテンプレをもとに編集部様は選考していらっしゃると思われるのですが、ちょっとお待ちください。それ、本当に売れるのでしょうか?
確かに上記の要件を満たしていれば、読者のストレスは最小限だと思います。
しかし問題は面白いか否かだけではなく、実際に手に取って=購入して頂いているのかということです。
たぶん、ある程度は売れているのかと思います。ただし過去のような大ヒットは望むべくもなく、それこそ〝ある程度売れて〟おしまい……ということの連続かと推察します。なぜかというとマーケットの動向だからとしか言いようがありません。
自分も最近、新書を買って棚を飾らずブックオフを潤す、なんてことが多いです。今年に入って購入した新書は30冊(漫画含む)、棚を飾ったのはわずか3冊です。その3冊も1冊は自信をもって棚に置きましたが、2冊はひいきの作家だからで、内容に満足したからではありません。
別の考えもあります。メディアミックスのおかげで売れていたのであって、書籍のポテンシャルで売れていたのではなかった、という考えです。
どうでしょうか? 少なくとも〝ハルヒシリーズ〟は全部買って読みましたし、他にも何種類か買って、棚に飾っていました。
最近は書籍化しても3冊出たら打ち切り、なんてことも少なくないようです。カクヨムで何百とお話を紡いでいる方も少なくない、というのにです。
補足案件で書いたように、公募に応募する作品には続きが無いようにと暗にほのめかしつつ、実は続きも要求するというアンビバレンツな感覚はどうなんでしょうか。続きが無いように書いたお話に続きを要求するから、無理難題がたたって話が続かないなんてこともあるのではないでしょうか。
上記に挙げた編集部様の選考基準は本当にそのままでいいのでしょうか?
そんな基準に縛られず、面白い作品は選好出来ないのでしょうか?
企業が企業活動の中で規範としていることを、外部の人間が変えることは出来ません。しかしユーザーのニーズを的確に捉えて商いを続けていかないと破綻は免れません。ぜひとも編集部様にあっては、より楽しい作品を提供して頂きたいと切に願っております。
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