第11話:公募に出す小説とは

 さて、先日のお話で〝涼宮ハルヒの憂鬱〟こそ、編集部様が望む理想の小説であると説明しました。では我々〝書籍化したいなぁ〟作家は、そんな事実を前にどうしたら良いのでしょうか? まずは


①編集部様が望む小説を書いて、応募する。


 残念ながら、基準は明確になっています。それを執筆出来ないからこそ、私の小説は二次予選で敗退するのです。


 分かり易い学園モノで、可愛いけれども変わった女の子が、ヘンな仲間と部活動をしながら事件に巻き込まれる、と云うテンプレです。


 もう一つの方法は、流行はやりのテンプレを徹底的に追求する方法です。先日お伝えした様に、色替えしてでも強調したい様な今どきのテンプレを盛り込んで応募する。そう云う手段です。


 テンプレを書く時に注意しなければいけないのは、模倣のテンプレになってはいけません。どこかで見た設定、どこかで見たキャラクター、どこかで見た事件……編集部様はそう云ったモノの専門家です。パクリはすぐに見破られます。


 ……ガッカリしている皆様の表情が目に浮かびます。そこでもう一つ別の方法をお伝えします。それは……


②〝書きたいことを、書きたいように書く〟方法です。


 たぶん皆様、唖然とした表情をしてらっしゃると思います。


「何だよ、編集部様が望む小説を書け、とか言ってたじゃないか!」と仰りたいだろうと思います。しかし、その編集部様が言っているコトこそが怪しいのです。


 まちかりが頂いた講評をよく読んで頂ければわかりますが、編集部様は決して、まちかりの書いたモノを否定してはいません。


「こうした方が良いでしょう」

「取っつきにくい恐れがあります」


 やんわり否定しています。それはもちろん、テンプレを守らなくても面白い作品が出て来るからです。


 以前書いたように、まちかりが公募に参加した時に、ラノベの決まり事をことごとく破って〝○クセル・ワールド〟が大賞を穫りました。それがどういうコトかお解りですか? 編集部様が自ら決まり事を破って、「○クセル・ワールド」に大賞を与えたと云うことです。


 もう一つ考えてください。〝涼宮ハルヒの憂鬱〟のリリースは2003年、もう20年も前の作品です。平成ですよ、平成。編集部様、20年も……イヤもっと前からかもしれません。頑なにテンプレ守っているわけです。


 さすがに古いような気もしますが、それに沿ったヒット作も出ています。俺ガイルシリーズ(非公募)、青春ブタヤローシリーズ(非公募)……。


 逆にその間にメカや特殊設定を活かした幾つものヒット作が出ました。シュタゲ(ゲーム)、インフィニット・ストラトス(非公募)、灼眼のシャナ(非公募)等々……これらはお約束を守りつつ、新しいエッセンスを加えています。


 前に書いたように、我々のゴールは固定されたモノではありません。作品そのものがゴールなのです。どの作品がゴールかを編集部様が決めているのです。しかも極端な話、ルールすら変更されることがあってもです。


 そこで我々はどうすべきか? 何らかの事情があって、早く結果が欲しい方はテンプレに乗る方が速いかもしれません。しかしテンプレすら覆す様な作品が生まれてくれば、編集部様コロッと態度を変える可能性があります。


 要はテンプレでもオリジナルでも、面白い作品が書ければ良いのです。1回の公募にどちらも応募出来れば、より良いかもしれません。


 なぜか? どのタイミングで編集部様がゴールを動かして良いと思うか、我々には判らないからです。テンプレを維持しつつ、新しいコトにも挑戦する……そんな姿勢で臨んでいなければならないと思います。


 上記に上げた作品は、必ずしも公募参加作品ではありません。しかしアニメ化されるだけの人気がある。そのぐらい良い作品が書けたら、書籍化されるだろうコトは間違いありません。そこに皆様が至れるかどうかは、編集者でないまちかりには判りません。


 書き上がったら、まずネットに上げずに、講評をくれる公募に出しましょう。講評をいくつかもらって、それを参考にまた次に挑戦しましょう。その繰り返しにしか方法はありません。


 最後はさすがにまじめに書きました。また、すごく効率の良い方法でもありません。でも編集部様の思惑が判っただけでも価値があると思います。


 公募に出すしか道はありません。ひたすら書きましょう、みなさん。


追記:公募に応募した方からの情報提供を呼び掛けましたが、畔戸ウサ様と青きんぐ様からしか御連絡を頂けませんでした。お二方、有難う御座いました。

 まさか二次選考突破した方がカクヨム内に皆無だとは思えないのですが……。ぜひとも私のコラムが終わったあと、「三次選考の講評はこうだ!」と云う考察をお願いします。

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