第8話:ハリー、ハリー、ハリー 【考察と実例】

 皆さん、ホラー映画はお好きですか?


「なんだ唐突に?」


 訝しむ方もいらっしゃると思いますが、しばしお付き合いください。


 まちかり、ホラー映画好きです。主人公の身の回りに不可思議な出来事が起こっていき、やがてその元凶が姿を現し主人公を恐怖のどん底に陥れる……この流れが最高です。


 まちかり、ホラー書いてみました。それがカクヨム様で公開している“国土交通省URAサービス”という作品です。どうにもタイトルが悪すぎてPVが伸びてないのが玉に瑕ですが、こちらも公募に出したことがあります。


 ……もうズタズタにされました、ええ。決して恨んでいるわけではないのですよ、プロからの有難いお言葉ですから。


 講評のまな板に乗ったのが……そう、冒頭のあれです。


“主人公の身の回りに不可思議な出来事が起こっていき、やがてその元凶が姿を現し主人公を恐怖のどん底に陥れる”


 これがまな板の鯉だったのです。


 もうおなじみのG〇文庫様の講評ではこう書かれました。


『前半の描写が細かく、ていねいに書かれていますが、その分幽霊についての話がなかなか進まない印象を受けるので、読者の興味を引くテンポの良い展開にしたり、主人公の説明より幽霊事件に軸を置いた流れにしたりするほうがよいでしょう』


……バッサリ三枚におろされました。


 この作品は引きこもりの主人公が怪異に見舞われ、部屋から一歩も出ないまま解決するというお話でした。ですので主人公の境遇などを分かり易く、事細かに書いたつもりだったのです。しかしライトノベル的には『そんなことより早く話を進めろ』という事案だったのです。


 もうお話の根底から覆っています。改稿なんてものではありません、根本的にお話作らないといけない領域に入っていました。


 得られた教訓は、ライトノベルの世界では事件は早めの段階、しかもなるべく早い段階で起こさないといけないということです。これも編集業界ではテンプレの考え方のようで、X(ツイッター)にこの考えがコメントに載っているのを見ました。


 それ以外の点についてはおおむね良好なコメントを頂きましたが、この“事件は早く起こす”というのはまちかりにとって衝撃でした。


 ただしこれもあくまでラノベに限った話で、すべての作品に通用するとは限りません。いやですよ、すべてのホラー映画で怪異が話の冒頭からバーンと出てくる映画ばかりになったら!


追記:実は同じことを、なろう様で公開している“あなたをおいしくいただきます”でも言われてました。曰く、


『ただ、物語の後半からしか話が展開しないので少々退屈な展開に思えます。謎のレストランの話以外にも前半から触れていったほうが読者を引きつけられるでしょう』


 ほかの公募でも同じように


『敵の姿をもっと早く出して、危機をあおった作りにした方が良いかと思います』


と言われました。


 皆様、前半ですよ。前半。

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