第7話:主人公に何させます?【考察と実例】
弱気の虫に取り憑かれました、気を取り直して行きましょう。
さてキャラクターを魅力的に書く必要性を、ご理解頂けたかと思います。
しかしボーッとしている主人公なんかちっとも魅力的ではありません、何かを追い求めてこその主人公です。そのためには主人公に何かさせなければなりません。
まちかりの第二作目〝じゅうはおさらをうつものです〟で、まちかりはクレー射撃を主人公達にプレーさせました。実はこれが大失敗だったのです。
頂いた講評では
「「射撃」という、あまりライトノベルの題材に挙がらないものを使い、また現代社会を舞台に外国人の女性を主人公に据えるという、思い切った構成でありながらも、ドラマ自体はしごく真っ当で読後感も良く、また射撃の緊張感も丁寧に描かれている作品だったと思います」
「おお、好評だ!」と思いきや、続く内容で地獄に落ちました。
「ただ、かといって「射撃」に惹かれたか、心に残ったかというと、残念ながらそこまでには至ることが出来ませんでした。射撃のルールや、撃つ際の緊張感、テクニックなどは判るのですが、それが読み手の「楽しさ」には繋がっていないのです。シーンはイメージできますが、それがどう楽しいのかが伝わってきません。まずは「射撃」の楽しさをどうドラマに絡めるか、という観点で考え直してみると良いかもしれません」
ここでまちかりはドツボにはまりました。
「「楽しさ」を伝える」?
いや、楽しいでしょう! 的に当てるの楽しいでしょう? やったことありませんか?
ここでハタと気が付きました。編集者様やったことないんでしょう、射撃。
皆様にお尋ねしますが、野球やサッカーなどメジャースポーツを題材にしたをマンガ読んで楽しさって伝わってきますか?
まちかり、伝わってきません。ただ、自分が小学生のころやらされたことで、そのころの微かな楽しさの記憶は蘇ります。いわゆる“同調”=シンパシーってやつですね。
結局メジャースポーツがマンガなどの主題になるのは、このシンパシーのおかげではないでしょうか?。自分も体験したことのある微かな楽しみの部分が増幅されることによって、マンガも楽しく感じられるのではないでしょうか?
あとはテンプレです。異様に自信満々な敵キャラが、主人公たちにギリギリのところで負ける……これ、〝ざまあ〟じゃないですか? 読者のエクスタシーはそこで頂点に達するわけです。何といっても自分たちが経験したことのある楽しみの頂点なのですから。
ではやったことのないスポーツや趣味、行動はシンパシーを得られるのか?
はなはだ疑問です。何といっても、それが気持ち良いのかどうかすら判らない。テンプレのざまあ作でもいろいろバリエーションが出ていますが、こんなところが差になっているのかもしれないなぁ、と常々思ったりします。
「いや、そんなことはない。まちかりの筆が弱いので、射撃の楽しみが伝わらないだけだ」とまちかりのゴーストがつぶやくのが聞こえます。残念ながらいまさら改稿する力もありません。何といっても何をどう変えればいいのかすらわかりません。
ペロりねった様が「導入としては『テンプレ』はすごい、と思う。でも、冒険ができないから、そればかりに傾倒しすぎとも思う。失敗できない、したくない方面の思惑はしかるべしとも思うけど……」
とコメント書き込んで頂きましたが、まさにその通りで、編集部様としても自分たちが理解出来ないものを読者が理解できるのかという不安はいつも付き纏っているかと思います。
ここで締めたいと思います。
「リスクがある限り、テンプレは不滅です」
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