二枚目
なんで泣きそうなんだろう、なんでこんなに泣きそうなのを我慢してるんだろうか。自分が欲しかった物が手に入ったのに。嬉し泣きとは違う。そう断言できる。達成感? 違う、この子を抱きしめているだけなのになんでこんなに手が震えているのだろう。息の震えの隠しようがなくなってきた。別にこの子がこれからどうかなるわけじゃないのに。なんだろうか、悲しいわけでも嬉しいわけでもないのになぜこんなにも自分の中心を抉られているんだろう。なんで自分で消したいたはずの物がこうも存在を主張するのか。この込み上げられた物はなんだ。吐き気と頭の重さと涙とどうしようもないこの胸の重さ、そして自分を蝕む寂しさ。
本当の自分の心が疲れて、切り傷だらけで、今にも潰れそうなことに今気づいた。いつまでも見栄を張り、強がり、心の内側に嘘をつき続け、本当の自分を無いものとして扱っていたことに。今さら思えば自分の本来の笑い方なんてもうわからない。もはや自分は限界だと。もうこれ以上進むと空虚へと足を踏み出すことになると。前を向いていたはずなのにいつの間にか一歩先が暗闇だと。本当に自分を苦しめすぎた。それが誰かからの心にも思っていない結果であったとしても、少しずつ少しずつ自分を責めるんだと、心の奥の自分が重たい鉛でできたの扉を叩いている。
瞳から溢れ落ちるものがあった。もう降り止まない雨のように、自分で立ち続けるちからもなく足から崩れ落ち、もう到底人には見せられない顔になっているだろう。自分の背中には冷たくとも暖かく、細いがしっかりとした彼女の手がある。だから泣くやむことがどうしても出来なかった。彼女から話しかけられる音は、自分の声を抑えるのに必死でどうもちゃんと、聴き取れなかった。
置手紙 天海創達 @Amami_Sotatu_00
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