第2話 誰か
あくびをして、今起きている事を整理しようとする。僕はこの喫茶店の中で寝てしまって、今はもう夜中。飲みかけのコーヒーはとっくに冷めていた。
リュックを広げ、パソコンをしまっている。コーヒー代と同じだけの金額を席に置いておいた。
「さて、ご馳走様でした…」
僕は逃げるように扉のドアノブに手をかけた。
がちゃっ。
…がちゃがちゃがちゃっ。
…開かない。
いや、開かなくて当然だ。だって今、この店は閉まっている。さらに今は夜中。開いている方がおかしいよな。
仕方なく、店のキッチンの窓から出る事にした。窓なら内側から開けられる。出た時に閉められないのは懸念点だったが、気づいたところで、単なるミスだと思われるだろう。
そして僕は窓を開け、店の外へと出た。
〈翌日〉
いつも通り、僕は憂鬱な朝を迎える。出勤かー、と考えると、昨日の喫茶店でもっと寝てれば良かったな、なんて思えてきた。
だけど、そんな感情は、すぐに消え去った。僕の目と頭には、飛び込んできたニュースでいっぱいになった。
「昨夜、〇〇市の飲食店で、30代前半と思われる男が、厨房の窓から外へ出てくる動画がSNSで拡散され、大きな反響を呼んでいます。警察は、男の身元特定を急ぐとともに、住居侵入、威力業務妨害などの可能性を視野に捜査しています。」
喫茶店の木の匂い 噂のはちみつ @honey0108
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