第3話
彼女たちの住処は、森に囲まれている。といったところで、人里からはそんなに離れていない。何故なら、魔女の生業は本来は薬の精製である。薬を求めるのはやはり、病人。病人を救うのもまた魔女の仕事だ。研究ばかりではない。
内密だが毒だって薬の一つだ。解毒剤も勿論用意する。魔女の仕事は多岐にわたるが、それは他の仕事も一緒だ。狩人だって獣を狩るだけが仕事じゃない。危険な毒を持つ生き物から村人を守ったりだってする。
「あ〜あ、今日は剣の出番は無かったな。退屈な探索だった」
「これ、あんたの仕事は私の護衛だよ。盗賊やら山賊やら獣まで襲われないに、こしたことはない。噂じゃ魔王ってやつが生まれたって話だ。魔王が生まれれば魔族や魔物だって活性化する。気をつけるこったね」
「おっ、仕事の予感だね。こりゃ、いいこと聞いた」
「どこがいいことなんだい、老骨には堪える難事だよ」
「私にゃ活躍のチャンスだよ。ヴァンピィもそんなに齢が嫌なら若い人間の血をまた飲めばいいのに。若返るんだろ? 関節痛だって治るかもしれないよ」
「血の選別が難しいんだよ。生命力の強い血じゃなきゃ吸ったら吸われた側が死んじまう。そんなのまっぴらごめんだね」
「ま、自由にすりゃいいさ。私は私の仕事をやるまでだ」
二人の会話は工房につくまで続いた。工房内でのことは余人には知る由もない事であろう。
魔女と傭兵の魔王改造計画 雨髮玲人 @amagami010
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