第3話 俺っ子JK、告白する

「オ、オジャマシマス……。なっ、別に緊張なんてしてねーよ!」


「幼なじみのお前の部屋なんて、俺からしたら自分の部屋みたいなもんだからな。ちょ、ちょっと数年ぶりに入るくらいで緊張したりしねーよ」


「ほ、ほら、お前の部屋、昔から全然変わってねえの」


「こんなもんむしろ落ち着くっつーの。……それに、なんか懐かしいしな」


「……確か最後に来たのは小学生だったっけ? どうする? 久しぶりに二人でゲームでもするか?」


//SE カタンと写真立てに手が当たる音


「あ、わり。……ん? なんだこれ……写真立て?」


「お前、部屋に写真なんて飾ってんの? わざわざ写真立てに誰の写真を……」


「……なーんだ、小さい頃のお前の写真か。つまんねーの」


「隣に写ってるのは誰だ…………え、俺? これ、小さい頃の俺とお前の写真……」


「……~っ!」//急に照れる


「……ふ、ふんっ、なんだよお前、俺とのツーショット写真なんか飾ってんのかよ」


「もしかして中学ん時に一時期疎遠になって、俺と遊べないのが寂しくて飾ってたとかじゃねーだろうな?」


「やーい、寂しんぼっ。寂しんぼっ。寂し…………って、なに赤くなって俯いてんだよ」


「……い、いつもみたいに言い返してこいよ? お、俺がイジめてるみたいだろっ」


「……え、あ……うん。いや、俺も……あの頃は寂しかったけどさ」


「……だって小学生までは男女関係なくお前と一緒にいれたのに、中学に入った途端に男だとか女だとかで気まずくなって……あんまり話せなくなって……」


「こんな風に男っぽくすれば、またお前と何も気にせずに一緒にいられるかもって、頑張って……」


「高校に入って前みたいに話せるようになったのは良いけど、今度はお前から女の子扱いされなくなってて……」


「ただ、お前と昔みたいに話せるのは嬉しいから、それは仕方ないかなって……ぐすっ」


「……あー、俺なに言ってんだろ。ごめん、今のは忘れろ」


「……え、女の子扱いしてないわけじゃない? 男っぽく振る舞う俺が可愛くて、つい意地悪を……って嘘ばっかり」


「……こんな男女が可愛いわけないだろ」


「……嘘じゃない? 証明する?」


「そんなのどうやって……」


「……俺の超能力でお前の心を読む? いや、出来なくはないけど、いいのか?」


「心を読まれるってあんまり気持ちのいいもんじゃないはずだぞ?」


「いや、俺もやったことは無いけどよ……。え? 俺になら心を読まれてもいい?」


「そ、そうか……。お前がそこまで言うなら」


「じ、じゃあ……やるぞ?」


「……額に手を当てて、お前の思考を読み取る…………」


//SE 超能力が発動する音


「……ふーん、人の心ってこんな感じなんだ……って、ん? え、え、え、ええ!? やめろやめろ! そんなに脳内で可愛いって連呼するなぁ!」


「……こうやって照れてるところも可愛い? う、うるせえ! いや、お前が喋ってるわけじゃないのは分かってるよ!」


「お、おおおお落ち着けるか! お、お前がこんなに俺のこと可愛いって思ってるなんて知らなかったんだからしょうがないだろっ」


「分かった、分かったから! お前が嘘ついてないのはもう分かったってば! だからもう可愛いって考えるの……やめろぉ!」


//SE 超能力の発動を止める音


「……はぁ……はぁ……はぁ。う~……」


「……なんだよ、そのドヤ顔。すげームカつく」


「……けど、分かった。お前が俺のこと可愛いって思ってくれてるの。だから、俺も正直に言う。じ、自分の気持ちを……」


「いいか? 二回は言わねーぞ? し、しっかり聞いとけ」


「……えっとな。俺は……、ず、ずっと前から、お前のことが……好きだ……」


「だからもし、お前が俺なんかのことを可愛いって思ってくれてるなら、その……付き合って……欲しい」


「俺の……彼氏になって欲しい!」


「……なんだよ。ニヤニヤしてないで何とか言えよ……え、お前も、俺のことが好き? 本当に? 嘘じゃない?」


「じゃ、じゃあ今からお前が俺の彼氏!?」


「……へへ、すげー嬉しい。ずっと、まじでお前のこと、好きだったから」


「もう駄目だからな? 今さらやっぱり無し、とか言っても絶対離さねーからな?」


「彼氏……へへ、お前が彼氏かぁ……」


「……お前がドキドキしてるの、くっついてる胸から伝わってくるぞ。たぶん、俺も同じようにドキドキしてると思うけど」


「あ、最初に言っとくけど、浮気とか絶対許さないからな」


「お前、気付いてないだろうけど、たまに女子の間で名前が挙がるくらいにはモテてるんだから」


「……だってお前誰にでも優しいだろ。俺、いつも気が気じゃなかったっつーか……」


「え? 誰かに好きとか言われたことない? だからモテてない……ってお前なあ!」


「それ全部俺が周りを牽制してたか……ら……。いや、違う。牽制とか別にしてない。ち、ちょっとお前に近寄ろうとする女子を威嚇してただけ……」


「……し、しょーがないだろ! お前、俺のこと女の子扱いしないしさ。高校から知り合ったポッと出の女に、お前取られるの……嫌だったんだもん……」


「……そんなに心配しなくても、好きな女子はずっと俺だけ?」


「……それ、本当か?」


「……だったらさ、抱きしめろよ。言葉だけじゃ信用できない」


「心を読むのは、……か、彼氏にあんまりそういうこと何回もしたくないしさ」


「だから、俺が安心できるようにお前が……俺を、抱きしめろよ」


//SE 抱きしめる音


「……へへ。あったかい」


「けど、まだまだだな。もっと強く抱きしめろ。こんなんじゃ信用できない」


//SE 強く抱きしめ直す音


「まだまだ弱いー」


「えー……、お前の俺への気持ちってこんなもんなの? 俺、なんか自信なくなってきたなー」


「もっと強く抱きしめてくれないと信用できないなー」


//SE さらに強く抱きしめ直す音


「……っお! やるじゃねえか」


「そうそう、そのくらい……って強い強い強いっ! 強すぎだって!」


「くっそ、俺だって負けねえぞ。ほら、どうだっ。苦しいかっ?」


「まいったって言えば許してやらなくもないぞ?」


「……なんだと? 後悔するなよ?」


「ほら、ぎゅー! ぎゅーっ! ぎゅーーーっだ!」


「……え、まいった? へへーん! 俺の勝ちー!」


「……ん? え? 俺が可愛い過ぎて苦しいからまいったって……?」


「ばっ、おま、なに恥ずかしいこと言って!」


「……う、うるせえ、こっち見んな!」


//SE 殴られる音

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