田舎冒険録

ロクボシ

第1話 退屈な少女と満足な少女

アタシは昔から、せっかち、飽きっぽいってよく言われていた。

それはアタシの根っからの性格だからどうしようもないんだけど、最近この世界にすら飽きてきてしまった。なにも、なんにも変わり映えがしないんだもの。

日本がなんていう世界大会で優勝した?

政府が何か大事なことを決定した?

なんていう有名人が結婚した?

最近のトレンドの服はこれ?

聞き飽きた。そんなもん全部耳にタコができるくらい聞いた。

そりゃこんな性格じゃ周りから飽きっぽいって言われるのも分かっている。

でもこの世界は、魔法が使えるようなファンタジー世界でもなければ、全てが電気で動くサイバー世界でもない。無駄を楽しむことも、不便がなくなることもない。すごく中途半端だ。こんなのアタシの勝手な言い分でしかないけど、アタシにとっては事実だ。



そういえば、チャリで1時間くらいのとこに、小さい時よく幼馴染あいつと一緒に連れてってもらってた町があったな。


あれ?あいつって誰だっけ?小さい時はしょっちゅう遊んでたのに。

あ、思い出した。夜風徹よかぜてつだ。最近会わなくなってたから忘れてた。


・・・だめだな。幼馴染の名前すら忘れかけるなんて。





私は、この世界には満足している。この国はあまりおかしな事件が起きたりはしないし、インフラもとても便利だ。上下水道は通っていて、電気はずっと送られている。鉄道も国中を張り巡らされて、船もあれば飛行機もある。インターネットは不便なく使えるし、それ以外も、全部まとめてあまり不自由のない暮らしができている。

まあ、私の幼馴染朝風サラなら、『飽きた〜!なんか新しいことないの〜?』とでも言いに来るんだろうけど。そういえば最近朝風サラあいつと遊ぶどころか会ってすらないなあ。



・・・今何してるかな。特にやることもないし、メッセージ送ってみるか。

『今何してる?』っと。


また遊べたらいいなあ。二人で。




・・・お?徹からだ。

『今何してる?』

『暇してる』

『今度学校でまた会わない?』

『いいね!ひっさびさに徹に会えるとは!』

『んじゃあ決まりな

明日の放課後に適当に生徒玄関あたりでまっといて』

『りょーかーい!』

いやあ嬉しいな。だいぶ久々に会えるぞ。いや多分会ったことはあるけど、うちの学校田舎のくせしてクラスやたらと多いからわからんなあ・・・



!!!!!

「ん〜〜〜〜〜〜!!」

「サラどうした?舌でも噛んだか?」

「噛んどらんわ!」

「ねーねーお父さん!アタシと徹とお父さんで登山行った時に使ったキャンプ道具まだある?」

「あ、ああ。物置にあるが・・・何するんだ?」

「いやー、ちょっと面白いことを思いついてさ」

急いで食べていたご飯を口の中にかき込んで物置へ行く。玄関で靴を履いて、外にある物置へ行く。ドアを開けて中を見てみると、しっかりあの時のキャンプ道具があった。早速準備を始める。

寝袋を適当なバケツに水を溜めて、そこに突っ込む。乾燥はまあ、中になんか入れて空洞作ればどうにかなったはず。

リュックは適当に埃を払ってやる。

トレッキングポールはまあ、伸ばせるか確認して埃落とせば大丈夫でしょ。

そんで忘れちゃいけないのがテント。パイプが折れてないか確認して、破れてないか確認して、ファスナーが閉まるか確認して、ペグがちゃんとあるか確認する。

あとは多分そんなもんで、水筒は家にあるから大丈夫。もしなくなったら調するし。食べ物は・・・食べ物・・・うーんあんま気が進まないけどまあなんとかなる方法はある。それ以外に持っていったら良さそうなもの・・・あ、そういえばなんでかはわからんけどうちトランシーバーあったな。それと、ラジオとかも一応。あと展開できる椅子も。正直こんなにいるかはわからんけど。ラジオ以外はアタシと徹の分、二人分用意する。それじゃあ、明日の朝くらいに寝袋は畳めばいいや。今日は寝よ。



よーし予定通り朝早く起きられた。そしたら寝袋を畳むとしよう。

畳んだらリュックの下あたりに括りつける。これでよし。


それじゃあ、今日は珍しくがある学校へ行こう。

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