第18話 魑魅的パレード
「[やはり君はここに来たね.この小娘にして正解だった]」
「乗っ取るところまで織り込み済みかな? 順調そうだが,好事魔多しだぜ」
「[残念ながら悪魔は君一人だ.それともこの軍勢を見て自分のものと勘違いしたかな?]」
リーユの姿で神と名乗るそいつは手を広げて得意げににやけた.その後ろには回収してきたであろう百は超える思念体が兵隊のように整列していた.こんな性格の悪そうなやつが神だったら,生きてるだけ幸せかもな.
「百鬼夜行にしか見えないが,この世を終わらせるかのようだな」
「[ああ,君さえ現れなければ,人類なんか復活させるわけないじゃん]」
「俺が人間だった頃に,いくらでもチャンスはあっただろうに.万能ではなさそうで残念だね」
「[あまり舐めたことを言っていると,死より恐ろしい目に合わせるよ?]」
「それは嫌なことだ.数億年でも逃げ続けるしかないね」
「[逃げられるとでも?]」
あっという間に囲まれた.だが,この神は分かっているのだろうか? 相手が思念体なら,レオの時と同様に俺は──
「
発動しなかったらどうしようかと危惧していたが,囲った数十ほどの思念体が一斉に溶けて俺の中に吸収されていった.
「こうなると思わないのか?」
「[もちろん,思ったさ]」
「?!」
体が重い.いや,体だけではない.気が沈むような苦しさが襲ってきた.
「[
「確かに,俺の方が原始的な人類と言ってもいいかもな.だが,これを背負って折れずにいた少女だっているのさ.ジジイが折れるわけにはいかないさ」
リーユは頑張っていたんだな.それでも村人全員は背負えなかったから,外に溢れていたんだろうな.十分だよ.救うことは人のするべき義務じゃない.ましてやあんな小さな娘にさせることじゃない.
「こんな苦しいのが分かってるなら,天使の力なんか押し付けずに直接俺を殺しに来いよ.子供を平気でいたぶってるあんたは神なんか名乗る資格はない.卑怯な悪霊だ」
「[好き勝手言ってくれちゃってもう.神を知った風なことを.資格なんていらないさ]」
そう言いながら右手を握り込んだ.突然その隙間から光が螺旋状に走り,剣のように伸びて形を成した.
「[
「ずいぶんと大層なものを出したな」
「[すごいでしょ? 神の剣さ.悪魔を殺すために出してきたのさ.すぐ終わるよ,痛みを感じない君には余計なお世話かな?]」
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