第15話 作為的カインドネス
リーユが後ろに飛びのき,
[[可哀そうに]]
あいつの言葉を思い出す.俺にできることは限られているからな.なるべく対話で解決したいものだ.
「なあ,リーユちゃん.とりあえずこの事情について話してはくれないかな?」
「話? ふざけるな.レオを元に戻してからにしろ」
そういえばレオのエネルギーが削れたのって,再結晶と同じ原理だよな.ということは,俺からうまいこと流し込めないだろうか? 普通は無理だが,手に触れて削れたなら手を崩すイメージで……
「
「?! レオが,回復している」
マジかよ,格好つけて技名言った甲斐があるな.悪魔的な才能があるぞ.
「どうだい? これで話を聞いてはくれないかな?」
「──分かったよ.お前は人じゃないが,悪魔でもないみたいだ」
おそらくだが,神が注意するべき悪魔と言ったら俺しかいないんだよな.何なら,俺がその気になればレオを完全に削り取ることもできるだろう.本当に彼女は人を疑う事が下手な原始的で何も知らない人間だ.旧時代のあいつらもそうであったなら,俺と伊吹は……
「ここじゃなんだ,外に出よう名前は確か──」
「
「そうか,よろしく頼む」
「レオはつれていかないのか?」
「見てのとおり,アタシが天使の力を解放している間は全員フリーズする」
後ろにいたはずのレオはバグを起こしたホログラムのように固まっていた.また,村全体が静寂に包まれていることに気付いた.これではまるで廃村そのものではないか.建物の手前にある丸太に腰掛ける.外はすっかり日が傾いていた.
「それで,歩はどこから何しにここに来たんだ?」
「正直なところ,あまり分かってない.ここに来たのも森の中でレオに招待されたからってだけだ.少なくとも何も危害を加えるつもりはない.そういうリーユは天使の力を解かないのか?」
「あいにく魂を吸収しないと,しばらく元に戻せない.もしかしたら方法があるのかもしれないが,アタシは知らない」
「意外と不便なんだな.その姿は疲れそうだけど」
「はじめは疲れもしたが,肉体的なものより吸収した魂の苦しみによる精神的なものの方が大きい.記憶が少し覗けるんだよ,吸収した人の生前の苦しい記憶だけ」
「覗けるにしても覗きたくはないな」
「ああ,昔は優しさ半分好奇心半分で覗いていたが,すぐやめたさ」
「じゃあ本題に入ってもいいかな? この村の人々を全員幽霊みたいにしたのは君だよね? なぜこんなことを?」
「吸収した理由はいろいろとあるけどよ.幽霊みたいになってる理由はアタシにも分からねぇんだよ」
「あれ? 村の静けさを誤魔化すとかでわざとやってるんじゃ?」
魂をすべて吸収するという話と違うんだが.俺は天使じゃないし,間違ってるとも言えないが.
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