第03話 神話的ソウル
「人間に魂があったとして,肉体を捨てた電脳世界の人類に魂ってあると思う?」
魂自体が概念的なものだから,はじめから無いんじゃないかと思っているが,あるとしたらどうだろう……?
「脳が金属製でもあるんじゃないかな?」
「おお! 良い線いってるね」
なんだか数億年振りに授業を受けているようだ.……授業ってこんなんだったかな?
「結論!! 電脳人類にも魂はあります! 魂は人格に宿るからです」
「いぶきせんせー! 電気回路に人格なんかあるんですか?」
肉体が若いとはいえ,ジジイとババア二人で何をやってんだろう.
「いい質問だね
トチ狂ったババアの創作論にしては妙な説得力があるな.
「魂は二つの要素で構成されている.『
「なるほど,つまり電脳人類は肉体から移行する過程で条件を満たし,運命の殻があって生命エネルギーが溜まっているってことか」
「そう,そういうこと」
ひとしきり喋って満足したのか,久しぶりに話して疲れたのか,最初のテンションは落ち着いたみたいだ.
「それで,天使の私には魂が見えるの」
ひとしきり喋ってもそこはブレないんだ……
「そんで,その電脳人類が一つになったせいで神様が困る量の生命エネルギーがで溜まって,隕石が降ると?」
自分で口にしてもアホくさすぎる.
「そうだよ.運命の殻が一つに広がった方が中身の体積が増えるってこと.もっと言うと,数億年前に人類が戦争を始める直前もかなりマズい量のエネルギーが溜まってたんだよ?」
「人類も綱渡りだな…」
「天使は運命の殻ごと魂を吸い取って減らすこともできるんだけど,この大きさになると無理なんだよね」
「神様,手を打つの遅すぎん?」
「仕方ないよ,宇宙は広いんだから」
神様スケールでも広い宇宙で,この小さな星の,さらに小さな球体デバイスは,神様を敵に回したらしい.
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