第02話 狂気的ヒューマンエラー
文明が,終わる?
永遠の命を求めた人類にも,いつか終わりが来ることは誰もが予想はしている.だが,それが突然訪れることには困惑を禁じ得ない.
「意味が分かんねぇよ.ここを壊そうってんなら俺が止めるぞ」
「いやいやいや,私には壊せないしそのつもりもないよ.でも,止められもしないかな」
「自爆システムもないし,他の地域の爆弾もとっくに地中で分解されてる.隕石でも降って来るのか?」
「正解,その通り」
ニヤッとしながら
「
「それはね,私が天使になったから!」
どうやら,こいつの精神も限界を迎えたようだ.いつかのあいつらみたいに,数日後にはいなくなってるだろうな.そうなると,俺も独りか.世界に好かれたような,虐められたような,そんな気持ちになった.すぐ近くに何十億という人類がいるにも拘らず…….孤独とは存在が残されることではなく,意識から消されることを言うらしい.目の前で俺を覚えてくれている最後の一人が,狂った.
「ちょちょちょ,そんな諦めた顔しないでよ! 確かにもう数十分しかないけどさ,そんな顔のまま死なないでほしいな」
「まあ,確かにこんな顔で見送るのも良くないか」
「一向に信じてくれそうにない……」
「でもまあ,その真面目な話くらい聞いてやるよ」
「こんな風に話すつもりじゃなかったんだけどなぁ」
不服そうな顔をしながらも,伊吹は話し始めた.
「この世界は物理法則という絶対のルールに従っている.このルールを定めた者の存在を仮定して,これを『神』と呼ぶね」
前提からかなり壮大でぶっ飛んでいるな.座ってる俺の前をぺたぺた歩きながら話し続ける.
「この神はルールを崩さないように世界を監視してるんだけど,それを破る存在が出てきたら消滅を試みるんだよ.今回は目の前にあるこの電脳人類で,そのことを伝えるために神の力を分け与えられたのが私ってわけ」
どんなわけだか知らないが,人類がイカれてるのは納得がいってしまった.
「とは言っても,物理法則を無視するっていうのは神様も心配しすぎな気がするけどな」
「そう思うでしょ? でもさっき言ったようにこの電脳世界は一つになりつつあって,これが完成したときこの世に存在してはいけないレベルの生命エネルギーを持ってるんだよね」
「生命エネルギーって? 電磁気的なアレではなく?」
「それを説明するためには,魂についてから先に話さないとね」
あるのか,そんなもん?口には出さなかったが,そう思いながら続きを聞くことにした.
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