第24話 それから

十年後。


 私は勇者の道を諦めてから勉強して医療班の班長になっていた。それでも、研修、研修の毎日で忙しかった。


「デイナ班長、お手紙が届いていますよ」


 事務の後輩から、私は手紙を受け取り、差出人を見る。


 わああああ、アイリスさんからだ。


 急いでエルフローラさんの所に行くことにした。


 エルフローラさんは大勇者カセルさんの意思を継ぎ、後世に勇者を残そうと教師の道を選んだのだ。そう、エルフローラさんはこの学園の実技の教師をしているのだ。

ちなみに、カエスルさんは副理事長まで出世した。


「デイナさん元気そうね」


 実技教官室の中にエルフローラさんが座っていた。


「エルフローラさん、アイリスさんから、私達に手紙が届いています」


 「アイリスさん?懐かしいな。元気かな、早く手紙を読んで」


 アイリスさんは勇者として地元に帰り最前線で魔族と戦っていた。


『エルフローラ、デイナ、ご機嫌いかがでしょうか。先日のエルフローラとカエスルの結婚式の案内ありがとうござました。任務の為に式には出られなくゴメンなさい。その後、休暇が取れたので、もう直ぐ学園に行きたいと思います……』


 エルフローラさんとカエスルさんは先日結婚したのだ。私も早く結婚したいものだ。おっと話しがずれた。


「ねえ、結婚式のやり直しはできないかな?」


 エルフローラさんが私に相談してくる。


「良いわね、私達三人とカエスルさんとの四人なら問題ないかと」


 こうして、結婚式に出られなかったアイリスさんの為にパーティーを開く事になったのだ。


 数日後、アリシアさんが学園にやって来た。


 アリシアさんは今やトップ勇者だ。そして、アイドル並の人気が出てファンクラブができるほどだ。


 そして、アリシアさんの為に開いた結婚式パーティーは終わり。アリシアさんがまた旅立つ時間はあっという間にきた。私は退魔の祈りを込めた小さな鋼の板を渡す。


「ありがとう、あの時、エルフローラを救ったモノをくれるなんて光栄だわ」

「えへへへへ、祈りを込めるのに時間がかかるから量産できないオーダーメイド品よ」


私が照れていると、エルフローラさんは幸せそうだ。


「ほら、エルフローラもこっちに来てアレをやりましょう」


 アイリスさんは右手を差し出す。その上に私が右手を乗せると、エルフローラさんも右手を乗せる。


『イェーイ』


 三人の右手が空に上がると永遠の友情を誓った。

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真紅は瞳の色と朝焼けに 霜花 桔梗 @myosotis2

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