「まずはダイスを振れ、話はそれからだ。」【TRPGリプレイ】
皐月季(サツキ)
0話
小説家の
19歳で小説家を目指し、22歳でようやくデビュー。
それと同時に故郷である岐阜を出て、東京へやってきたがあっという間に3年の月日が経ってしまった。
デビューをしたはいいものの、売れるとなるとまた別の話である。何度も実家へ帰ることも考えたが、自分の可能性を閉ざしたくなかったMiiは必死の思いで新しい本を書き続けていた。神は、そんなMiiに手を差し伸べてはくれなかったが。
そして今日も、新たな次回作を書くために丸一日かけて情報収集をし、帰路についていた。
たまたま取材をした方の故郷も岐阜だったと知ってしまったこと、私もです、と食い気味に答えてしまったことが運の尽き。
岐阜トークばかり盛り上がってしまい、肝心の取材を聞き出すのにとても苦労をした。
明日が休みということもあり、いつもより情報収集に熱が入ってしまったMiiは、今までの疲労も重なって、より一層疲弊しながらとぼとぼと歩いていた。
故郷をちょっと恋しくなりながらも、次の本は売れる、次の本は売れる、と半分自己暗示のように呟きながら、自分が今どこを歩いているかも、周りのことを気にすることもできないほど、とぼとぼと歩いていた。
同時刻、今年度初めてのテスト期間を終え、生徒の答案用紙に点数を書き終えた
思ったよりも外が暗くなっている。れおは、8年間高校の教師をしてきたが、どうも採点の筆だけは早くならない。
残りの枚数は到底数える気になれないが、今日中に終わらないことは確かだ。
ありがたいことに、明日は休日。家でゆっくりと続きをするか、と手を付けていない答案用紙をカバンの中に詰め込めるだけ詰め込んで、高校を出た。
東京の空気はどうも重い。ついでに、かばんも重い。
前の勤め先が長野にある母校だったために、空気も吸いなれていたし、人数も少なかったのでここまで採点に時間がかかることがなかった。
加えてPCを使った授業が増えたために、ノートパソコンも持ち運びをしなくてはならなくなった。
長野にいた頃が恋しい。
そんなことを考えながら、苦しそうな首元を緩め、東京の家へと歩き出していた。
そして同時刻、二人は背後から襲ってくる敵に気づけなかった。
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