第9話
カヨの仕事以来、僕は週に1回くらいの頻度で仕事をしていた。勉強が嫌になったこども。家事で疲れてしまった人。どこにいけばいいかわからなくなった人。たくさんの悩みを抱えた人がいた。僕が仕事をして、感じたことはみんな、誰かに話を聞いて欲しいんだ、ということ。実際、僕が話す前に自分が話したことで満たされて、僕があまりことばをかけなくても、鎖が解けていった事例もあった。
ハチはそれを見て、
「本当は誰かに頼りたいんだよな。」
と、ポツリと言った。
そんな中で唯一、ハチに助けられたことがあった。その相手は恋をした人だった。僕は、その人の話を聞いているうちに不意に、気が遠くなった。気がつくとハチが仕事を全て終わらせていてた。あの気が抜けていく瞬間は、とてつもなく恐ろしく感じた。自分に穴が空いてその中にブラックホールみたいに吸い込まれそうな感じがした。
ハチはじっと僕を見て、またいつものように歩き出した。どうしてだろう。僕はハチが寂しそうな悲しそうな目をしているように見えた。
君は non @Kanon20051001
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