第76話 ダンジョンのボスと財団職員

「ダンジョンのボスが変わるっていうのは…一体どういうことなの?」


『簡単に言えば、ここのダンジョンの本来のボスはドラゴンなのですがそのドラゴンを殺して、ダンジョンのボスの地位を奪うモンスターがいるかも知れません。』


「そりゃすごいね…ちなみになんだけど、ドラゴンを殺して地位を奪えるモンスターが居るなら、どういうモンスターが居るの?」


『そうですね…例えば私のような巨人種などでしょうか?巨人種はドラゴンを殺すほどの力を持っていますしさほど不思議ではないかと…ですが、このダンジョンには巨人種がいないのでドラゴンを殺すことは出来るモンスターはここにはいないかと…』


「なるほど…じゃあドラゴンを人間が殺したって仮定して動いたほうが良いのかな?」


『殺したのではなく支配していると考えたほうが良いかもしれません。ダンジョンの内部を確認する限り、ボスモンスターであるドラゴンの魔力が確認できました。なので生存はしているんでしょう…』


「生存はしているけど、どういう状態なのかはわからないもんね…」


『そのとおりです。ともかく、今はダンジョンのモンスターを一体でも確認したほうが良いかと…』


「でもダンジョンのモンスターを一回もまだ見てないよ?というかモンスターが居る気配がないんだけど…」


『事前に察知できるはずなのですが…一体も探知に引っかかりませんでした。つまりこの階にはモンスターがいないと考えられます。』


「じゃあ次の階に行こう…若干めんどくさいけどこの階でも採取できるものは採取していこう。」


『わかりました。すこしここで待っていてください。』


俺は工場の内部で何を作られているのか気にしながらも、その場で待機していた。結局の所俺はアロンやルージュに指示を出すことでしか戦闘に参加できないから、ほとんど俺は戦闘することが出来ないのだ。


一応アイテムを使えば戦闘することは出来なくはないけど…それは俺の力じゃない。俺自身の力ではこんなダンジョンに入ることも出来無いだろう。


そんな事を考えているとアロンが戻ってきた。


『主様!!一応いろんな物が落ちていたり、生産されていたので勝手に持ってきました!!』


「ありがとう!!それじゃあそれも鑑定しておいてくれる?」


『かしこまりました。他の物品と一緒に鑑定にかけますね!!』


俺とアロンは再び次の階層へと向かった。残っている階層は少なくなってきているはずだから、注意しつつ進んでいこう…








「おいドラゴン…お前のダンジョンに侵入している人間について教えろ。お前らボスモンスターが持っている水晶で鑑定をすることが出来るんだろう?それに無条件ですべての情報を覗けるのも知っているんだぞ?」


『だれがお前なんかに渡すか!!お前がこのダンジョンに来てからめちゃくちゃだ!!私が丹精を込めて作ってきた環境はお前らのせいで全部崩れてしまったじゃないか!!私が作ってきたんだから相当分の弁償をしろ!!』


「うるせぇなトカゲ風情がよ…俺にすら勝てないんだから、口答えせずに働け!!」


『くっ…』


「ドラゴンって以外にも脆いもんだよな?俺は所属している組織の中じゃ、下部だぞ?お前みたいな強力な存在が組織の末端の構成員すら倒せないんじゃ、この国は終わりだな。それにこのダンジョンの支配権も手に入れたしな。」


『ダンジョンの支配権は私にある!!もう散々遊んだだろう?早く私に返してくれ!!』


「こんな面白いもの渡されて、簡単に返すやつが居ると思うか?居るわけ無いよなぁ!!ダンジョンのボスのスキルだかなんだか知らないが、今は俺が持ってるんだから関係ないんだよ!!」


『くっそ…スキルを使えればお前みたいなやつなんて簡単にひねり潰せるのに…』


「スキルを使えたとしてもお前じゃ俺を倒せねぇよ!!てめぇはさっさと仕事をしろ!!」


『仕事なんて言っても…スキルを使えないんじゃ、与えられたことをこなせないよ…』


「何を言うか!!トカゲ風情が!!スキルなんてなくたって飛べるんだから与えた仕事はこなせるだろう?さっさとこなせ!!」


『力を取り戻せたら覚えておけよ…人間ども!!』


「人間に負けるドラゴンには恐怖心なんて抱かないなぁ〜」












ダンジョンのボスであるドラゴンは半強制的に与えられた仕事をこなさなくてはいけなくなってしまった…










新作もよろしくお願いします!!

裏切られ絶望した少年の復讐譚

https://kakuyomu.jp/works/16817330664793177655/episodes/16817330664803455889


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