第73話【判明】霧の正体と力

「じゃあさなにかの暗号って可能性はある?よく映画とかでは識別不可能な文字を使って相手に情報を渡さずに自分たちだけで情報を共有するみたいなのがあったからさ?もしかしたらって思うんだけど…」


『どうなんでしょう…主様が言った物が可能性としては高いと思います…でもそれだったら電子機器を用いれば良くないですか?このダンジョン内でも電子機器は使用できますよ?なのでこうやって字に残すのは不自然です。』


「確かに…そういわれるとそんな気もしてきた。でもさ、電子機器って簡単に盗聴できるじゃん?アロンだってやろうと思えば電話の内容だったりメールの内容とかを全て盗んだりとか出来るでしょ?多分そういうのを警戒しているんじゃ無いかな…」


『私であれば証拠を残さずに盗聴だったりをすることも出来ますけど…それをするための労力を考えるとちょっと躊躇します。それにこんな所でやってもほとんど誰も居ないと考えるでしょうし…そういうのを警戒するというわけでもないかと…』


「じゃあこれは一体何なんだろう…後はトラップとか?この訳の分からない文字を見て間違って触れたりしたら転移させたり、ダメージを与えてきたり…そういう可能性とかはある?」


『いえ…そういうわけでもなさそうです。どちらかというと主様が言ったメッセージ説の方が信憑性があります。トラップであればそこら中に魔力が漏れますので簡単にわかります。』


「わかった。アロンがそう言ってるんだし、とりあえず写真にとっておいて後で確認しよう…よし写真に撮ったから先を急ごう。」


『わかりました。ですがこの霧をどうにかしないといけませんよ?』


「そうなんだよね…結界を使えばそういうのの侵入を防げるだろうけど…というか触れてもないからどんな害があるのかも分からないんだよね。単純に視界を塞ぐだけのものなのか、それとも五感を封じるなりして影響を与えてくるものなのか…」


『この霧について解析を行おうと思います。このダンジョンから一時撤退するのが良いかと…』


「一時撤退することについては構わないんだけど…入り口は霧に既に封鎖されてるんだよね…だからどちらにせよ影響を受けるんだよね。ちなみにこの霧の解析ってどれくらいで終わるの?」


『後一時間程度あれば完全に解析することが出来ると思います。ですが簡易的にするのであれば5分もあれば行けると思います。』


「簡易的じゃなくてしっかりと解析しきっちゃってくれ。対処方法が確立できればこの霧の中もしっかりと歩いて向かえるからね…そこはアロンの解析にかかってるかも。」


『わかりました。できるだけ詳しい情報を出せるように努力します。』


俺とアロンは空中で待機していた。ここにいれば少なくとも霧の影響は受けないからだ。俺は地上を注意深く観察して、アロンには霧の解析に尽力してもらった。注意深く観察していたお陰か、霧についてある程度わかった気がする。この霧はこのダンジョン全体を覆い尽くしていると考えられる。


それにこの霧の影響なのか、工場の一部が腐食されているようだった。時間経過とともにどんどん脆くなっているようで、いくつかの建物は建物の自体の重さに耐えきれなくなったのか倒壊してしまった。


「アロン…これって腐食みたいな影響があるみたいだぞ?」


『後5分で解析が完了します。解析が完了次第報告します。』


「わかった。もう少し待ってるわ…」


アロンが解析を完了させるまでには、もう少しかかりそうだ…俺はそんな事を考えながら地上を観察していると、いくつかの人影が見えた。


「なぁ…この地上に誰か居るって事考えられるか?」


『あまり考えにくいですけど…もしかしてなにかあったんですか?』


「人影が見えたんだ…こんな霧に包まれて視界が遮られているのにはっきりと見えたんだ。」


『なるほど…あっ解析も終わりました。この霧には腐食の力も含まれているようです。半端なものではすぐに腐らされて壊れてしまうでしょう…』























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裏切られ絶望した少年の復讐譚

https://kakuyomu.jp/works/16817330664793177655/episodes/16817330664803455889


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