第72話【異変】ダンジョンに隠された真実

そのハンドルを回すと、周囲を霧が覆い始めた。霧が周囲を埋めつくして視界を悪くしていくなか、何者かがこちらに接近している音が聞こえた。


その接近してくる何者かに気をつけながらも、アロンと一緒に周囲を探索し始めた。ダンジョンの内部はやはり普通とは違っていて、どこか嫌な空気が漂っていた。


このどこか嫌で、人の事を不安にさせる空気を警戒しつつ探索するのは体力の消費が激しかった…結局アロンに飛んでもらって移動中だ。


何者かが接近しきる前にアロンに飛んでもらったから良いものの、アロンも想像以上に疲れているようだ。


「大丈夫?疲れてるみたいだけど…」


『この霧の中を歩いたらもっと大変なことになっていたと思います。おそらくですけどこの霧には疲労を蓄積させるような仕掛けがあると思います。あのハンドルは回さないほうが良かったのかもしれません…』


「回しちゃったものはしょうがないから大丈夫だよ…それよりも今後について考えなくちゃいけないね…」


『そうですね…この霧をどうにかして他のところにまで移動させるなりして除去しなければ地上をまともに探索できるとは思いません。もし出来るのであればそういう霧を晴らしたりとかするアイテムを持っていたら指示した所に投げてください…』


「残念だけどそういうアイテムは持ってないかな…多分あるんだろうけど、買ってないと思う…」


『それは仕方がないですね。それでは別の案を考えましょう。まずはこうやって空中にとどまってきりの影響を受けないようにしつつ、探索をする方法です。これはあまり現実的ではないと思います。』


「そうなのかな?」


『はい。私単体で飛ぶことなら永続的に出来ますけど、主様と一緒に飛行するとなると12時間が限度かと…なので霧の影響を受けないようにするのであれば、高い建物などの上に着陸する必要がありますけど…』


「見渡す限り全てが霧に包まれちゃってるもんね…一応見えそうなものはあるけど、それは工場の一番上って感じの部分なんだよね…いわゆる煙突ってやつだよね?」


『そうだと思います…とにかくこのままでは霧の中探索を行わなくてはいけなくなります。なにか解決策があれば良いのですが…』


「ライトとかはあるんだけどさ…正直あてにならないんだよね。だってほとんど意味ないじゃん?」


『この霧の中だとあまり意味がなさそうですね…それどころか敵がいれば、その敵に居場所を教えてしまうでしょう…ですがそれを避けてに撮ることも出来ます。』


「どういうこと?」


『この霧の中です。モンスターも視界が悪いでしょうから光を頼りに主様や私を探すでしょう…つまりライトを付けた状態で遠くに投げればその方向にモンスターが行くはずなので数秒は稼げると思います。』


「数秒じゃ殆ど変わらないと思うんだけど…」


『いえその数秒が大事なのです。光を追って地面に落ちた懐中電灯を発見すればモンスター共は主様と私のことを再び探すでしょう…そしてその探している間であれば紀州だって可能です!!』


「奇襲するとかは別に構わないんだけどさ…嫌な予感がするんだよね。」


『どんな予感ですか?』


「この工場みたいなのあるじゃん?」


『ありますね…何か中で生産しているようにも見えますけど、何を生産しているのかは分かりません。』


「そう…そこが問題なんだよ。何を作っているのかがわからない…つまり俺たちが知らないアイテムというわけだ。そのアイテムがどれほど強力なのかもどんな使い方をするのかも俺たちは知らないんだよ…」


『そうですね…アイテムを普段から大量に使って、アイテムに関するスキルを大量に入手していれば話は別ですけど、主様の場合はそこまでではないですもんね…』


「俺はね…この工場をどうにかして壊したいって思ってるんだ。この工場を壊せばこの異常な減少も終わるんじゃないかって思ってるんだ。」


『そうですね…それも一理あると…思います。』


「どうしたんだ?そんな壁なんか見つめて…」


『主様…これを見てください。』


俺とアロンが見つめている先には血のようなもので何かの文字が書かれていた。


「アロン…解読できないか?」


『…分かりません。世界中の文献を参考に解読を試みましたが、この文字は既存のものとは全く持って関係がない物です。』


俺とアロンはお互いに目を合わせてびっくりしていた。そしてこの文字についてもう少し調べることにした…












新作もよろしくお願いします!!

裏切られ絶望した少年の復讐譚

https://kakuyomu.jp/works/16817330664793177655/episodes/16817330664803455889


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