記憶

かいとも

記憶喪失

<これは、記憶を失った英雄の男の1日の物語>


「ナイル!起きたんだな!」


 誰だ?この人。


「誰ですか?」

「え?嘘だろ?俺だぞ?サルイだぞ?」

「すみません。

サルイという人は知りません」

「そ…そうか。

ナイルが絶対忘れない方を呼んでくるから」

「ナイルって誰ですか?」

「え?自分の名前も忘れたのか?」

「はい。

自分が誰かも分かりません」

「そうか。

まあ、ちょっと待っていてくれ」

「分かりました」


<サルイと名乗った男は、病室から出ていった>


 俺が絶対忘れない方?

 人の名前らしき記憶はない。

 俺はいったい誰なんだ?


<サルイは、忘れない方の部屋についた>


「タラン様。

サルイです」

「いいぞ」


<そこに居たのは、神々しいオーラを持って居る方だ。

 見れば誰でも分かる。

 神様だと>


「サルイが来たって事は、ナイルは起きたのかい?」

「はい…ですが…」

「どうした?」

「記憶が無いっぽいんです」

「そうか。

他はまだ仕事だろ?」

「はい。

マミルは、俺の代わりに国の事をしてもらってます。

ルミルとサランは、騎士団と魔法士団の強化。

カリルは、冒険者の報酬の確認をしています」

「分かった。

目を覚ました事は、まだ先の方がいいな。

それじゃあ、ナイルの所に行こうか」

「はい」


 あの時の自爆で死なないのはおかしい。

 そして、ナイルが記憶喪失…

 でも、何故そうする?核達よ。


<そして、ナイルが居る部屋に入った>


「や!ワシの事は覚えているか?」

「すみません。

覚えて居ません」


 この人は誰だ?いや…人じゃない。

 何かを感じる。


 うーん。

 このオーラでなにも思わない?

 記憶喪失が起きても、9割の人間はこのオーラで、我々神の事は思い出す。

 そして、残り1割の人間は、属性の核を失った者達だけだ。


「ナイル。

魔力は分かるか?」

「魔力ってなんですか?」

「ナイル魔力分からないのか?

そんな!嘘だよな!」

「静かにしていろ」

「あ。

すみません」


 魔力を知っていないと駄目なのか?


「魔力を知ってなくても大丈夫だよ。

体に何かあるのは分かるか?」

「貴方の回りにある何かは、自分の体にもあります」

「それが魔力だ」


<急に鐘の音が鳴り響いた>


「タラン様!」

「先に行ってろ!」

「分かりました!」


<サルイが部屋を出た時だった>


「あ…あああああ」

「始まったか。

それじゃあ、ちゃんと話し合えよ?」


<タランが部屋を出た時、もがき苦しんでいたナイルは眠った>


<鐘が鳴り響いた時の、他の英雄メンバー達>


<騎士団>


「王国騎士達よ!我等の命はあの時に無くなっていた!

分かってるよな?お前らー!」

「勿論です!」

「死ぬつもりで戦うな!生きるために戦えー!」

「おー!」


 ナイル…目を覚ましたか?

 今生きているのはお前のお陰だ。

 必ず全員生きて戻ってくる。


<魔法士団>


「私達魔法士は誰も死なせたら行けない!

前線で戦っている人を絶対に守る!

私達の命はあの時に無くなっていた!

死ぬつもりで戦うな!生きるために戦え!」

「はい!」


 ナイル…目を覚ました?

 次は私達がこの国を守る。


<ギルド>


「僕達冒険者は死と生きている!

あの時助かったのは、生(せい)が生(い)きてくれた!

今回は生(せい)が生(い)きてくれると思うな!

死と生きて戦え!」

「勿論だ!」


<王室>


「皆さん!鐘の音は聞こえましたが大丈夫です!

ゆっくりゆっくり、教会に行ってください!

必ず皆さんは死なせません!

タラン様の名を持ってる私が約束します!」


 ナイル…あの時も言ったよね。

 タラン様に失礼なんだけど…

 まるで、ナイルが神様だと思った。

 なのに…なんで自爆しちゃうのよ…


<???>


「おい!だせ!ここは何処だ!鐘の音が聞こえたんだ!」


<真っ暗の部屋の中の、檻の中にナイルが居る>


「やあ、ナイル」

「お前は誰だ!」


<ナイルの名を呼んだのは、真っ赤な人だった>


「誰か。

ナイルであってナイルじゃない。

とだけ言っておこうかな?」

「俺であって俺じゃない?分からん!

とりあえずここからだせ!」

「出す事は出来ない。

その檻から出たとしても意味無いぞ?」

「なんでだ!」

「ここはナイルの心臓だ」

「心臓?心臓だったら赤いし。

なんで自分の心臓の中に居ないといけない!」

「ナイルは死ぬはずだった。

だが、ナイルという核を封じ込めた」

「核?それは心臓の事か?

そして、なぜ封じ込めれる?」

「ナイルの言うとおり、核は心臓だ。

そして、封じ込めれる理由は。

最初に言っただろ?ナイルであってナイルじゃない。

俺。

いや…俺達はナイルが使える属性の核だ」


<真っ赤な人以外に。

 真っ青な人。

 真っ緑な人。

 真っ茶な人。

 真っ黄な人。

 真っ白な人。

 真っ橙な人。

 真っ黒な人。

 が出てきた>


「色で分かると思うが。

8属性の核だ。

今回喋るの俺だけだ。

もし、前みたいに多かったら何を使う?」

「そんなの自爆だ!

俺が死んで皆が生き残るなら、それでいい!」

「そうか…やはり出す事は出来ない」

「なぜだ!見殺しにしろというのか!」

「そうだが?

それはナイルだってしている」

「俺は…」

「分かったかな?自爆も一緒だ。

助ける事は出来ない。

ナイルの仲間達はそれを味わった」

「それでも…頼む!お願いだ!出してくれ!」

「分かっていないようだな。

自分の命の重みが。

人間は生きるために支えも必要だ。

その支えが、友達、家族だ。

そして、友達が死んだとしよう。

友達が死んだ時に2つの想いがでる。

答えてみろ」

「友達の為に生きる。

友達を追いかける」

「そうだ。

ナイルだって家族を失って、2つの想いが出たからな。

人の命を支えるのは人だ。

支えた人が1人でも死ねば、追いかける者だっている。

命は自分のだけじゃない。

支えている人間の命でもある。

命を簡単にみるな」


<ナイルは崩れ落ちた。

 そして、泣いた>


「さあ!もう一回問おう。

もし、前みたいに多かったら何を使う?」

「友達と戦います!」

「そうか。

また会う日まで」


<真っ暗な部屋が、真っ白に光った。

 ナイルが目を開けると…そこ病室だった>


 速く向かわないと。


<病室の窓を開け、飛び込んだ>


「ふゆう。

神速」


<ナイルは飛んで分かった。

 魔物の異常な数を。

 数十万の魔物は確定している>


「サルイ!サラン!カリル!」

「ナイル!」

「起きるのが遅くなった。

言いたい事があると思うが、目の前の掃除を終わらそう」

「おー!」


<また国は守られた。

 死者0人。

 英雄の4人が全部倒し。

 英雄の2人が結果で守ったからだ。

 騎士団、魔法士団、冒険者の出番は無かった。

 だから、死者が0人だった>

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記憶 かいとも @kaitomo

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