三題噺書いてみた
オレンジ
第1話 ガラス 緑 車
適当に思いついた「ガラス、緑、車」の3つから連想した以下の言葉を入れた三題噺を書きました。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ガラスの破片 血 包帯
草 エメラルド カエル
タイヤ ブレーキ 高級車
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
雨の日の夕方、小学4年生の少年はダンススクールの帰りに、同じスクールの少女とともに宝石店のガラスケースの前で緑のエメラルドをあしらったティアラに見とれていたところだった。
すると途端、少年の目の前でガラスの破片が当たりに飛び散り、隣りにいた少女の体からは赤く鮮烈な血が吹き出した。
雨なのにスピードを出しすぎた高級車がブレーキをかけそこね、タイヤがスリップしてショーウィンドウに突っ込んだのだ。
2人への直撃は免れたものの、ガラスの破片は2人の全身におそいかかった。
その後、2人は包帯でぐるぐる巻きの状態で病院に寝ていた。
少年は夢を見ていた。少女と一緒に草原を自由にかけまわり、踊る夢だ。彼は身も心もは自由で、喜びにあふれていた。
しかしながら、目を覚ましてみれば全身の痛みという現実が待ち受けていた。
彼は薬や手術、リハビリと闘ってなんとか退院した。
少女もまた、怪我をしていたが、少年と違って手術を怖がっていた。
自由に動けない彼女にできた唯一の心の安らぎは、絵を描くことだった。
少女は、エメラルドをあしらったティアラをつけたどこかの国の姫君を描いた。
姫君はこれ以上なく美しい見た目で、王子と一緒に草原で自由に歌い踊っている。
手術の前の日、すでに退院した少年は少女の応援に来た。そして、彼女が描いている絵を見て言った。
「これ、君?」
少女は怒った。
私なわけないじゃないの、と。
こんな動けない体で……美しくもないのに、と。
男の子は言った。
「怪我は治せばいいじゃん。それに、君はかわいいよ。手術頑張ろうよ。僕、応援してるからさ」と。
そして、「手術が終わったら僕と一緒に踊ろうよ」と言った。
少女は、こう言おうとした。
「あんたとおどるくらいなら、カエルのほうがマシよ」
と。しかし少年の方を見ると、彼の顔は真っ赤だった。少女は一瞬言葉をつぐみ、それから
「ありがとう。手術頑張るね。終わったら、踊ろうね」
と言った。少女の顔も真っ赤だった。
少女の手術は無事終わり、リハビリもして元気に退院した。
後日2人は、ダンススクールの発表会として、芝の生えた広い公園で元気に踊っていた。
曲はヒップホップだったが少年は、草原で姫君(少女)と踊る夢が本当にかなってよかった、と思うのだった。
三題噺書いてみた オレンジ @76-n
ギフトを贈って最初のサポーターになりませんか?
ギフトを贈ると限定コンテンツを閲覧できます。作家の創作活動を支援しましょう。
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。三題噺書いてみたの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます