第8話再会
翌日、学校へ行くとサエキの奴が不安そうに、
「お〜心配したぜ、あの後大丈夫だったか?」
とか僕の肩をまるで生きているか確かめる様にバンバン叩きながら言った。
「ああ、あの女子高生、お母さんがドライブインで働いているフツ〜の女子高生だったぜ、それよりお前一人で逃げやがって」
と言うと、
「なんだそうだったのか、良かったぁ」
オカルトマニアなのだから、幽霊の方が良かったんじゃないのか
と僕は思った。(サエキにも本当の事は内緒だ)
サエキの奴平謝りで、昨日は恐ろしくて僕の家に電話もかけられず、暑いのに布団を被って一晩中怯えていたらしい。サエキはこの一件以来僕に頭が上がらなくなってしまった。
それ以後、セーラー服の幽霊の目撃情報は無くなった。
その後も僕のオカルト好きは変わらなかったが、バイトしたお金でスポーツサイクルを買った。
高三になっても週一くらいでだるま山に自転車で登った。いつもレイコさんはカレーをご馳走してくれた。
カーブミラーでマイさんに会う事はもう無かったが、いつも途中で詰んだお花を添えて手を合わした。
知っての通り僕はオカルトマニアではあるが、リ・インカネーション(生まれ変わり)については猜疑的である。
でも時折、「そういう事もあるのかな」と感じる事もある。
単なる偶然だと思うが、僕の誕生日はマイさんのお父さんの命日の次の日だった。
レイコさんは「ホント、あの人によく似てるわ」と言って、コロコロ笑う。
高校を卒業後、地元の役場に就職出来た。僕のだるま山通いは変わる事無く、と言うより週一から週三くらいに増えた。
僕はレイコさんにプロポーズした。レイコさんは年の差を理由に承知してくれなかったが、僕には確信があった。あの日、マイさんが僕の前に現れたのは僕とレイコさんを引き合わせる為だと。
やがてレイコさんは僕を受け入れてくれた。僕の両親も歳の差を理由に結婚を反対したが、孫が出来た事を伝えたら手の平が返った。
「マイ」と名付けた僕達の娘はもう高校生だ。
了
修善寺奇談 キヒ・ロフン @suesun
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます