第10話 初めてのトリミング

お家に来てからちょっと経って、アカネがトリミングそろそろしてもらおうかって僕を見ながら呟いてた。


トリミングは知ってるぞ!毛を切られるやつだ!

お店でアカネが迎えてくれるちょっと前に顔だけ綺麗にカットしてもらってたんだ。

今度はどんな人が切ってくれるんだろう。

優しい人がいいな。


アカネが働いてるショップにもトリミングサロンがついてるみたいで、アカネ自身もお客さんの犬を洗ったり、爪切りや足裏バリカンなどの単品のお手入れをしているみたい。

毎日1時間ちょっとぐらいかけて通勤してて大変そうだったけど、アカネはすごい楽しいみたい。たまに病気の子のお世話したからちょっと撫でるのは待ってねって帰って来て速攻でお風呂に行っちゃうけれど。


そんな遠くにあるショップに僕も一緒に通勤してトリミングをしてもらうことになったらしい。車に乗ってドライブってやつがまたできる!ルンルンで車に乗ってお外を立って見るけど本当に飽きない。景色がどんどん変わっていくし、何よりあのバイクっていうモノがなんか好き。走ってるの見るとテンションがあがっちゃうね!

「ここで左に入るとパスタのいたお店への道だよー」とか「あそこは菜の花畑なんだよ、咲いたらこようね」とかいろいろお話もしてくれる。

そうこうしてるうちにお店に着いたみたいで、裏口から僕を連れて入って行った。「とりあえずみんなのご飯とお掃除するからトリミング室で遊んで待っててねー」なんて言われたから大人しく待っていよう。まずは部屋の匂いチェックでもしようかな、なんて思っていたらすごい子犬子猫達の声が聞こえる。僕のいたお店の倍以上いるんじゃないだろうか。お腹すいたの合唱の中僕もいい匂いに釣られてちょっとお腹すいちゃったかも、とか思っていたらトリマーさんも出勤してきた。


「君がパスタ君?可愛いね〜!まだふわふわの赤ちゃんの毛だね!」

どうやらこの人はアカネの同級生のトリマーさんらしい。同じ学校でドッグトレーナー科とトリマー科の違いはあれど座学とかは一緒に勉強して担当犬のカットとかはトリマー科の人にお願いしてたらしい。その中の1人というわけだ。この方は家でスタンダードプードルを飼っていてまあるいカットが得意らしい。僕もまあるくなるのかな?


一通り作業も終わってお昼休憩中に遊んでもらったり、オヤツを食べて僕のトリミングの番がきた。シャワーされるのはいまだに慣れないけれどとてもふわふわになってスッキリする。僕たちシーズーやトイプードルみたいな毛が伸び続ける犬種は耳毛抜きもしないといけないんだけれど、これをしてもらうと蒸れやすい耳の中がスッキリして気持ちいい。ちょっと抜いた後は気になったりもするけれど。


トリミング台の上は高くて怖いからついついはじに寄ってしまうけれど、トリマーのお姉さんがササッと体にバリカン入れてお顔を整えてくれて、まつ毛は長い方が可愛いから残しておくねって残してくれた。

もふもふも可愛いけどスッキリした僕もとても可愛いのでは?ショコラお姉さんより女の子っぽいかもしれないと内心思った。


「可愛くしてくれてありがとう、また次もカットお願いします!」

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僕、犬です。 七海たると @sand1023

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