第12話

武器を買い終え、舞の言っていたダンジョンへと向かう。


「此処がD級ダンジョンか……」

「余にとっては肩慣らしにもならぬが、仲間の戦力強化の為じゃ」


いつから俺は仲間扱いになってるんですかねぇ……まぁ否定はしないが。


「しかし、輝よ。お主が刀使いだったことに余は驚いたぞ。刀使いは日本でもわずかしかおらん、いわば絶滅危惧種の存在のような物じゃ」

「大体持ってるのがB級あたりだからな。使えるのはそれこそ幼少の頃から木刀を握らされている奴ぐらいだろ」


俺達がダンジョンに入ろうとした時、舞が配信用ドローンを展開する。

おいおい、こいつも配信する気かよ。まぁ、目立つのはあいつだけだし、俺には関係ないな。


「うむ、余の仲間の修行のために、今日のダンジョンはD級を選んだ。あまり面白みがないが、付き合ってくれるとありがたい」


〈問題ないぜ!〉

〈まさか「ニート」と組んでるとはな…〉

〈あれ?こいつこの前にすごいバフをばら撒いた奴じゃね?〉

〈こちら編集班。準備はできてるぞ〉


早速コメントが流れてるな。


「配信はいつ頃からやってたんだ?」

「15歳の時からじゃ。余も中学生の時からダンジョン攻略の配信を行っておるぞ」

「……にしては随分と視聴者が多いんだな」


軽く10万人を超してるし、ホントこれ俺いるか?


「さて、武器も新調したんじゃろ?行くぞ、目標はボスの撃破じゃ」

「当然の目標だな。俺は狩りをしたかったんだが」


ダンジョンに入り、階段を降りる。

このダンジョン名は【黒き花婿の墓石】と言うダンジョンらしい。


「しかし、D級のダンジョンに入るのは2回目だな」

「それもそうじゃな。余も他の奴を誘ったかが射線に入ってくるから敵が狙えんくてな……」


〈そう言えば、そいつ足を引っ張ってたな〉

〈功を焦る奴ほど早死にしやすい〉

〈ニートは逆に援護や囮に徹してたからな。ニートより使えない前衛ってなんぞ?〉

〈だからと言って後衛のみで固めると拙いしなぁ〉


「おーおー…酷い言われようだな。まぁ、そんな日もあるだろ」


コメントを少し確認した後、其処らへんでうろついている魔物を見つけて刀の試し斬りをするために近づく。


「レッサーサラマンダーか。試し斬りにはちょうどいいな」


レッサーサラマンダーが火を吐く。火の球が俺に一直線に飛んでくる。


「じゃあ……初級の技を使ってみるか」


居合いの構えを取り、自分の目の前1mに迫ったところで居合い斬りをお見舞いする。


「一ノ型、劣斬鉄」


横なぎに斬り払い、火の球を両断する。


「……普通ならもう刀身が溶けて始めてもおかしくないが、モノともしねぇな」


〈おおー〉

〈火の球を両断できる奴は珍しい〉

〈普通は避けるか、盾で防ぐのがいいのだが……〉


評価はぼちぼちですかね。


「ほほう、では余も肩慣らしと行こうかのぅ」


舞は強弓を取り出して1本の矢を手に取って弦を引く。


「今日な何体屠れるかのぅ?せいぜいは1000体くらいは欲しいところじゃ」


舞の強弓から放たれた大きな矢が前方へ勢いよく飛んでいき、俺達から20m離れた位置にいた魔物の大群が一瞬にして肉塊に変わっていった。


「ふぅむ、100体ぐらいか?」

「ちげぇよ。200体だ」

「おお、モンスターハウスに攻撃してしまったか」


A級以上の探索者は化け物しかいないのか?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

人外級の強さを持つ幼女がやって来たんですが… ヒラン @daikaru

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ