6 不明

監視カメラに映っていた1人の人間、そして俺にオーバードーズによる中毒症状を起こさせた犯人。それは桐山によると、俺と同じクラスの「金井秀亜」だという。

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「金井…ですか。」

俺にはクラスメイトとの交流が殆どない。そのため、クラスメイトのことについては名前と見た目ぐらいしか知り得ない。

「ここだけの話、だが金井秀亜…は今職員の間ではかなり問題児として扱われている。授業態度やテストの点数、そして校則違反…などだ。」

「校則違反って…彼は確か髪を染めていましたよね。」

俺は金井について覚えている情報を口にする。

「髪を染めているだけではない。ピアスを開けたり、アクセサリーの着用も見られている。」

…なるほど。だが不可解な点がある。

南條采乃という人間の目的は「人間の選別」。すなわち、優秀な人間を残し、劣っている人間を排除するということ。しかし今の話だけをきくと金井は問題児。優劣どちらかと言われると間違いなく劣っている側の人間だろう。

南條は「劣っている人間」である金井を部下に引き込まないはず。

本当に南條の目的は、オーバードーズによる中毒症状で俺を陥れることだったのか?

そんな疑問が頭に浮かんだ。

ただ、俺はその疑問を桐山にぶつけることはせず話を続けた。

「金井は確実に南條采乃が仕組んだ駒だろう。今回私がお前に頼んだ件を妨害する為の策なのかもな。」

「…悪いですが俺はこのくらいでは死にませんよ。」

体は多分強い方だ。「あの人」のお陰だろうか。

知能も、身体能力も…

「ああ。そのくらい私も理解している。だからお前にあの件を頼んだのだ。…それと、薬を仕込んで中毒症状を起こさせるなんて常人の考えることじゃないだろうからな、お前も気をつけろよ秋元。」

「はい、ありがとうございます。」

「…では、話しが済んだところだし私はこれで帰るとするか」

桐山は病室を出て行った。

「さーて俺の体調はいつ良くなることやら…」

もう起きれて会話もできるようになったが、まだ風邪を引いた時の様に体が重く、車酔いをした時のような気持ち悪さが残る。

「回復するまでまだ暫く寝てないとか…」


俺はこの後2日に渡り眠り続け、ようやく体調を回復させた。

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