あなたのすぐ下は、

あなたのすぐ下は、

　あれからの後日談。

　離婚して、新しい住まいを探していた友人は奈良県に引っ越してきた。

　見晴らしの良い、いい物件を見つけたらしい。

　もちろん周辺には墓地もないし、古墳も無いんだってさ。

　あたりまえだ。

「気味が悪い。」「気が知れない。」まで言っていたのに、実際そんな場所に引っ越したら、それこそ気が知れない。一生、話のネタにしてやる。

　ご近所さんというわけではないけれど、同じ県に住む者同士。

前よりも頻繁に飲みに行くようになった。

　友人は相変わらず口を開けば愚痴をこぼしたり、変な話をして人の反応を楽しもうとしたりするやつだった。でもなんだかんだ話をしていて楽しいやつ。

　だからこそ余計にかわいそうに思う。

　友人曰く、その家。夜になると声がきこえるらしい。

　だしてくれ　　だしてくれ　　助けてくれ　と

　墓地も古墳も近くにはないのに。

　でも家は地形的に少し盛り上がったところに建っているんだって。

地域の名前を聞くと「丘」の文字。

　ちょうど古墳の上に建っているのかもしれないよ。

って言ったら、それは絶対違うらしい。ご近所さんはまったくそんなこと無いそう。

　なおさらかわいそうに思う。

だってそれは地域とか古墳とかまったく関係ないってことだと思う。

考えられることは今のところ１つ。

　　家のすぐ下に、なにか埋められている

　　かわいそうに。