第4話 転機

 六月、クラスマッチが行われた。


 あんなものなければよかったのに。


 全て台無しだ。知りたくなかった。


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 六月にはクラスマッチがある。


「クラスマッチなんて時間の無駄だ。やる必要なんてない。その分、自分の時間として使いたい。」


と言いたいところだが、そうは言わない。少し考え方を変えれば得られるメリットのほうが大きいからだ。


 第一にクラスマッチをさぼったら、完全にクラスで浮く。これはいけないことだ。自分が成長するためには他人の力が少なからず必要だと思う。切磋琢磨する必要があるのだ。ただしそれが友達である必要はない。最低限クラスにおける自分の立ち位置を確立しておけばいいのだ。自分がいい成績をとる。それを知った周りの人が負けじと勉強を頑張る。僕は追いつかれないようにもっと頑張る。クラス全体の成績が上がる。授業の質が上がる。これが理想的なのである。もしも自分が皆に嫌われていたらこのような循環が起こる可能性は低いだろう。したがって、クラスマッチとは自分がクラスの一員で、悪い奴ではないことを示すのに絶好のチャンスなのである。


 第二に気分転換になる。非日常を体験することでいい刺激になる。変にクラスマッチにのめり込み過ぎない限りはいい恩恵を得られるだろう。


 本番に向けて練習しなければならないのは面倒だが、ぶっつけ本番では逆に足を引っ張りかねないので参加せざるを得ない。少し大変な月になりそうだが何とか頑張っていこうと思う。


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