第3話 完璧な学校生活。

 僕の一日を紹介しよう。6時に起床。8時30分から16時まで学校。19時まで部活。24時就寝である。もちろん空き時間はすべて勉強などに費やしている。一切の無駄を生じない完璧な生活習慣である。


 この生活リズムを崩さず無事に高校を卒業するはずだった。


 しかし、予想外にも僕の生活の天敵となるものが現れたのである。


 柳沢茜やなぎざわあかね。僕のクラスメイトであり同じ陸上部員である。


 何がどう天敵なのかを説明しよう。まず、学校生活において執拗に僕に話しかけてくる。おかげで休み時間をはじめとした空き時間を潰されてしまう。さらに部活のときまで迷惑をかけてくるのだ。僕はあくまで自分の身体を理想的な状態に保つために部活をしている。インターハイに出ようなんてつもりもさらさらない。にもかかわらず、


『慎二君ならきっとインターハイも目指せるよ!一緒に頑張ろうね』


 なんて言葉をかけてはよくわからないアドバイスをしてくるのだ。挙句の果てに居残り練習にまで誘ってきさえするのである。ものすごくうざい。


 もちろんこのような時のための対策は考えてある。

 1.完全に拒絶し突き放す

 2.いい感じにあしらって少しずつ関係を疎遠にしていく

 前者については、相手によっては逆効果になりかねないので要注意である。どういうことかというと、相手がある程度人気者であった場合、それを拒絶した僕はその取り巻きたちにいじめられかねないのである。そんなことがあっては返って面倒ごとが増えてしまう。そして、なにをかくそう彼女は、見た目、性格、学力を兼ね備えた人気者なのである。したがって、僕は後者の作戦を実行するしかなかったのである。


 ただ、この作戦が上手くいかないから、僕は今非常に困っているのである。そっけない返答を繰り返しているにもかかわらず、相変わらず交流をやめようとはしない。中学校までなら自分が悪目立ちしない程度に、最低限の交友関係のみで生活できたのに。


 ああ。でも本当はなぜ思い通りにいかないのか。なぜ彼女が諦めないのか。僕は気付いている。


 彼女は僕のことが好きなのだろう。。


 恋愛ほど無意味なものなんてないのにな。また明日からもこのような日々が続くと考えるとだんだん憂鬱になってくる。ただ、こんなことを考えることさえ無駄である。僕はなるべく彼女のことを考えないようにして眠りに落ちた。

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