“魔法未満”の“現代魔導”ファンタジー/新卒魔導師の成長に励まされる…

“魔法が存在すると証明された世界。”

私はあらすじ冒頭で心を掴まれた…
そして気が付けば最新話を読んでいた。
時間を忘れるほど、本当に面白かった。

現代、近年魔法が発見され研究されている世界。
“魔導適正”が認められ、魔導師養成学校で優秀な成績を収め卒業した“天音”は、国立魔導研究所に配属されることとなった。

が、彼女は合理的な技術である“魔導”を嫌っている。
物語上の“魔法”に憧れていたが、現代の魔導はその憧れをことごとく否定したのだ。
それでも“魔導適正”という避けられない運命を受け入れた…つもりだった。
苦い努力の末に待ち受けていたのは、“弱小”と名高い第5研究所への配属。

そして絶望的に思われたその配属が、内面的な弱さを抱えていた彼女を大きく変える。
現実に立ち向かい前進していく姿は、眩しく元気をもらえた。

そんな天音を導く第5研究所メンバーが私は皆大好きだ。
彼らはそれぞれ、過酷な過去や不遇な立場に合っていた者ばかりだ。
その為第5研究所に来てからはお互い支えあい、尊重しあっているのだろう。
アットホームで温もりあふれる空間は、読んでいて本当に癒される。

また第5研究所が“弱小”でも成り立つにはそれなりの理由がある…。
研究は妨害されてばかり、人権も法律も魔導が絡むとおざなりだが、魔法が証明されてからまだ12年、激動の時代ということの証左だろう。

シリアスな場面も多いが、彼らの日常会話は完全にコントだ。(笑)
愛情や恋といったテーマも程よく織り込まれていて、ニヤケどころが多い。
顔のゆがみが収まらなくなっても良い時に読むことをお勧めする。

嬉しいことに、完結した本作の100年後の世界の新作が投稿された!
本作と合わせて読んでいきたい。