第4話 種:死

蝉の声が降り注ぎ

地面から

陽炎が立ち上る暑い夏の日

房は産み月を迎えた


砕けそうな痛みの中

息んでも息んでも

産まれない


何故

この子は

出てこぬのか


まだ柔らかい爪を

子袋に突き立て

何故

しがみついているのか


気が遠くなる


この子は

産まれる処が地獄だと知っているのか


初めての難産だった

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地獄花 片眼の兎 @katameno-usagi

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