第11話一夜の過ち2

 体には、激しい情交の跡。


 そんな私の所属は、国王直轄。

 ……国王の秘書。


 しかも国王陛下の専属秘書官。

 


 

 女性の社会進出を良しとする祖父が、先代国王の時代から女性を登用するという法律を制定させたおかげで、女性官僚は増えました。

 ここ十年ほどは優秀な女性官僚が政治の舞台に躍り出るようになり、この国の男女の平等もだいぶ進み、女性の就職先としても人気です。 


 祖父のおかげで、私もこうして王宮の文官として働けている訳です。


因みに、祖父は女性官僚の育成に力を注ぐ傍ら、男性の役人の意識改革にも力を注ぎました。

その結果、祖父の代から少しずつ、女性に対する態度が軟化していきました。

しかし、未だに一部の貴族、特に保守的な家では今も「女性は家庭に入るもの」という考え方が未だに根強く残っているのも事実でした。だからこそ、おじい様は男性でも出来る仕事を女性に振ったり、女性でも出世できるようにしたり、女性が働きやすい環境づくりに邁進しているのだと思います。


そんな祖父の孫娘がお酒で失敗するなんて……。

相手は国王陛下。


……終わってしまった事は致し方ありません。

これは祖父に事の次第を報告するしかないですね。

さて、どうやって伝えましょうか……と頭を悩ませながら、私はベッドから降りようと身体を動かしました。

その時でした。


「うっ?!」


下腹部を襲う痛み。

同時に腰にも鈍痛を感じます。


どうやら暫く動けそうにありませんでした。

はぁ〜っと大きくため息をつくと私は頭を抱え込みました。

昨晩の事を思い出すだけで、恥ずかしさと後悔が一気に押し寄せてきます。


もう二度と飲み過ぎないようにしないと。









 



「――――という訳ですの、お爺様」


屋敷に戻り早速、私は帰宅後の出来事の一部始終をお爺様に報告しました。


「それは災難だったな……」


私の話を聞き終えたお爺様は深い溜め息を吐きました。

最初は孫娘の『やらかし』に落ち込んでいるのかと思われたのですが、違ったようです。


「朝一番で陛下からご連絡があったのだ」


「……そうですか」


どうやら既に知らされていたようです。


「陛下からの勅命である。一週間以内に後宮へ入れとの仰せだ」


 その言葉を聞いて血の気が引きました。


「……今なんとおっしゃいました?」


「後宮に入れと言ったんだ」


 聞き間違いであって欲しいと思ったのですが現実は非情でした。

 思わず頭を抱え込んでしまいました。


 もっとも、国王陛下の命令を断れる存在などいません。

 王命は絶対なのですから。



 こうして、私は入内を果たす事になったのでした。



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