第10話一夜の過ち1
眩しい……。
瞼が重い……あ、頭が痛くてクラクラして……。うぅ、吐き気がする程気持ち悪い。ああ~お酒を飲んだ後はいつもこうなってしまうのです。お酒は大好きなのに……飲んでいる時は美味しくて気持ちよくなって……ああ、頭が痛い。ザルの陛下と飲んだせいかしら?グラスに注がれては飲んでの繰り返しだったから……降り注ぐ陽光を感じながらそんなことを思っていました。そして、ふと、気付いたのです。何故、陽の光をこんなにも感じることが出来るのかしら?と。その疑問が今更ながら浮かび上がったのです。ふかふかで柔らかい肌触りの良いシーツ……どう考えてもベッドで寝ている事が分かります。執務室に設置されている簡易ベッドとは訳が違いました。
のろのろと目を開けると天蓋が……天蓋?天蓋付きのベッド!?
私ったら何てことを!!
自分の置かれている状況が分からず、慌てて飛び起きようとしました。けれど、体に力が入らないのです。腕すら上げることが困難な有り様。それに何だか体中が痛い……腰や足の付け根辺りは特に酷いような。とりあえず今いる場所だけでも把握しようと視線だけ動かそうとした、その時です。
「やっとお目覚めか?」
甘やかな声と共に頭上に影が落ちてきました。その声音には聞き覚えがありまして、まさかと思って顔を見上げたところ――
「ふぎゃああああああっっっ!!」
思わず悲鳴を上げてしまって……。目の前には陛下がいらっしゃいました。それも一糸まとわぬ姿で!!何という破廉恥な!!
しかも、陛下の顔が徐々に近付いてくるではありませんか。どうしてこんなことに!?
昨夜の事は殆ど覚えていません。
最後の記憶と言えば、陛下と楽しく喋っていてそのまま意識を失ってしまった事だけです。その後のことはまったく記憶に有りませんが……そういうことなんでしょう。陛下に覆いかぶされて顔中に接吻されているのですもの!鈍いと言われる私でさえ納得のいく状況です!
「へ、陛下ぁっ!!どいて下さいましぃ~!」
恥ずかしさと困惑が入り交じって私は情けない声で叫びました。それでも離れてくれる気配は無くて余計にキスの雨が降り注がれていきます。
「ちょ……まっ……待ってぇくださ……い。わたし……昨日……」
「ルーナは初めてだろうから優しくするつもりだったのだがな。どうやら加減が出来なかったようだ。すまない」
どういうことなのかと声を上げようとしても口付けによって塞がれてしまい、何も言えずじまいでした。
ひとしきり愛でられ茹で蛸状態の私にそれはもう鮮明に語ってくださいました。昨夜起こった出来事の一部始終を。陛下の話を聞けば聞くほど恥ずかしくなって……穴があったら入りたい気分です。
「体は大丈夫か?」
「……痛いです」
「無理をさせたようだ。今日は一日ここで休んでいるといい」
「……はい」
ああぁぁっ!!!
酔っぱらって前後不覚になって陛下のお手つきになるとは何たる失態!
着替え終わった陛下が微笑みながら部屋を出ていかれました。
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