第12話国王side

「陛下」


「リューク。コーネル伯爵子息の件は順調か」


「はい」


「なら、引き続き監視をするように」


「了解しました」


「つかの間の短い幸せに酔っているがいい」


 だが、あの愚か者のお陰で漸くルーナを手に入れられたのだ。その事に関しては礼をいおう。「影」に命じてコーネル伯爵子息に女を近づけさせたが、こうもあっさり引っ掛かるとはな。適当に何人かあてがった中で一番食いつきが良かったのが子爵令嬢だった。


 エミリー・ライナー子爵令嬢。


 報告を聞いた時は、伯爵子息の女の趣味の悪さに嘲笑ったものだ。見るからに顔と若さしか取り柄のない、男に寄りかからなければ生きていけないような令嬢だ。その上、頭が悪い。そんな者を何故好き好んで選んでしまったのか……理解に苦しむ。あれに伯爵夫人など無理だろう。勿論、下位貴族から高位貴族に嫁ぐ場合もある。伯爵家ならそこまで高位という訳ではない。子爵家や男爵家なら嫁ぎやすい。ただしそれには爵位に見合った教養が必要となる。あの子爵令嬢にはそれが全くなかったのだ。見た目だけ良くても意味がない。所詮見かけ倒しなのだから。その事に気付かない伯爵子息。実にお似合いの二人だ。せいぜい今のうちに楽しんでおくんだな。


 貴族社会は甘くない。

 特に高位貴族は。

 現実を知って後悔するがいい。


 私は彼らの末路を想像してほくそ笑んだ。








「陛下、ヴェリエ侯爵令嬢が後宮に上がって来られました」


「ごくろう。例の宮殿にしてあるな」


「はい。後宮で最上位となる離宮にご案内してあります」


「ならいい」


 第一段階は終わった。

 次は子供だ。

 世継ぎになる子供をルーナに産んで貰わなければならない。

 後宮の女達が煩い上に、彼女達の実家も煩いからな。


 まあ、最初は女児でもいいか。


 二番目か三番目に男児が生まれるケースの方が後宮の女達も諦めるだろうしな。


 男児さえ生まれればルーナを正妃に据える事も難しくなくなる。




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