気体‐イフルーヴィアム‐
アポトーシスによってもたらされる
一つ目は固形のソリッドタイプ。これは最も一般的な念動力。架空の質量を出現させる。
二つ目は液体のリキッドタイプ、これは少し貴重な念動力。可変式であり、銃撃などにも用いられる。
そして最後が、最も貴重なイフルーヴィアムタイプ、念動力の真髄であり、第三の手とも呼ばれる、最も自由な力。何にも囚われない形なき
そんなことを延々と聞かされていた気がする。
起きた時には独房の中に居た。
「此処は」
「あなたの部屋ですよ、
蒼鶴、と呼ばれるのはあまり好きではなかった。
嫌が応でも
征服者はどうして自分から大切な人ばかり奪っていくのだろう。
「どうしたんです、暗い顔して」
「いや、別になんでもないよ、
「……私の名前、憶えていたんですね」
「キモかったかな」
「ええ、かなりキモいです」
散々な言われようだと思った。名乗ってきたのはそちらだろうに。
牢屋のような、というか牢屋なんだろうが。無駄に息苦しさを感じる。どうしてだろうと星弥が考えていると。
「その部屋にはアポトーシスを抑制する装置が働いています、ラフメイカーは使えませんよ」
「通りで」
「おや、意外と落ち着いているんですね」
「まあね」
星弥は昔から隔絶されている事に慣れていた。
――嫌な慣れだと自分でも思う。
だから彼はこと状況を受け入れるという事に長けていた。故に簡単に話を振る。
「約束にはこたえてくれるのかな。全部を聞かせてくれるっていう、勝者への特権はさ」
「……まあいいでしょう、聞かせるくらいなら」
そうして淡々と御巫絢による世界の現状と星弥の現状が語られた。
今、世界は未曾有の征服者侵攻に見舞われている。
そしてそれに対抗するためには「
その一つが春日部智則が持っている「ラフメイカー」だった。
しかしラフメイカーが蒼鶴星弥に移植されてしまったがために、その性質が変化してしまった。
よって「上」は現状を判断しかねている、と。
蒼鶴星弥は敵なのか味方なのか、と。
「敵……?」
「
星弥はそこで耳を塞ぐ、聞きたくなかった。それに呆れたような溜め息が大きく聴こえた。
「あなたのことですよ蒼鶴星弥さん。あなたは敵ですか、味方ですか?」
「俺は誰かの敵じゃない」
「せめて征服者の敵であってください」
「……そのつもりだ」
そこで意外そうに目を丸くする絢。
「へぇ、そうですか、じゃあ、あなたは戦う意思があるんですね?」
「戦う、意思」
それがなんなのか、いまいち星弥には理解出来ていなかった。
ただ、友との約束のために、笑っているために、ただそれだけのために。
ガチャリと独房のドアが開く。
「その答えが聞ければ上層部は満足でしょう、大丈夫、あなたの『管理』は私がします」
「管理って……うわ?!」
独房の外、そこには一体の征服者の姿。
「思う存分に存在意義を示してください蒼鶴さん」
「……分かった、アポトーシス:ラフメイカー起動」
剣は意思となり、意思は剣となる。
完全固形化念動力ラフメイカー。
その力はまだ謎に包まれていた。
プロジェクト・アポトーシス 亜未田久志 @abky-6102
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。プロジェクト・アポトーシスの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます