第17話グッバイミリタリー

あなたの立ち居振る舞いに心惹かれたのは偶然かもしれないが、私の心の襞が欲していた人物像があなたは既にここに居て煌びやかなオーラを纏い何食わぬ顔で普段どおりに振舞っていた。

 そこへ私が入り込んであなたを愛でた!それが愛と言うならば愛かもしれない・・・。

「実はボク、須崎さんが好きだったんです!」

呆気に取られた顔、切羽詰った顔顔・・・。

「久しぶりねコー・オオソネ?」


 シリア駐留米軍の軍属医療チーム、Dr・ アンジェラのラインが鳴った。

「何言うが?ち、チョット止め!」困惑した顔面。夫、子供と、逡巡しながら人差し指を唇にあてがう姿が溜まらないくらいにハグを誘い身勝手にも抱擁に力を入れた!リリカルな時間が滑らかに流れる。

力なく仰け反りその反動で私の胸に顔を埋めた。

「何・・・、しゆう?」それも力なく呟く程度に、溜息と共に。

 八代の涙は清らかでトパーズ色のシンパシーだ・・・。

眼狂めく止まった時間と崩れた信頼。そして上を向いた八代の唇に唇を重ね、涙を拭いてあげようとした・・・が、私の右手を払い除け「調子に乗りなや!何になるん今更?」

「いちから始めるなが!? ほんなら女房は?子供は?ウチの亭主は?ウチの家屋は?あんたの人生リセットする勇気あるんかえ?」立続けに並べられキッ!と、睨む涼しい眼が甘い事を考えていた私を叩きのめした。人生をリセット? そこまで考えてなかった浅はかな私は八代の言葉に打ちひしがれ呆然と佇む場所はあったものの、アクセルを吹かした軽四のエンジン音が玄関から遠ざかり、思い出された胸騒ぎ・・・。

 何時までも何時までも妻に感謝して行くのではなかったのか?

些細な恋心に翻弄され感情をアンダーコントロール出来なかった私の敗北!

「ジェシーに会ったわ?」

 屈託の無いアンジーの無垢な仕事ぶりが思い出された。

可憐なジェシー、死なないでくれ!

 両親の故郷へ行かせてあげたい!

「トルコへのジェット便が4700ドルでパッケージ送料が3万5千ドル。彼女は誰彼となく言っていたわ。」

「エッ?」アンジーの明け透けな言葉に暗雲が立ち込める。

「トルコへ行けたら両親の銀行にある300万ドルで日本の貴方に投資をするわ?あなたにパッケージでね・・・。」

 突き飛ばされるのも覚悟の狼藉は夢想するだけで手指の先まで奮え、臆病な実行力の無い私は何時までも純愛を持ち続けるが後ろめたさを感ずるがままに何も出来ずに小さなセグメントの中で何時までも何時までも。

 妻へ感謝の気持ちを向け続けるだろう・・・。

そし



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2014親愛なるアフガニスタン しおとれもん @siotoremmon

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