愛はヒザまで

「あるワケねーだろ!ナマコかっ!!!」


・・・あ、いま身長どんくらいだっけ・・・178?


大腿骨50センチくらいか。。。だとウナギ?


ウナギは兎も角、前世だとギリギリ大型バイクが大型に見える身長か。

180だと「・・・あれ?900Rの原チャなんて出てたっけ?」て見えてしまい無駄に背虫になって見たりアップハンをクリップオンに戻したり諦めて四ツ輪のアメ車に浮気して雨の日の左折でケツ振って対向車にブつけて即手放したり・・・なんて全宇宙の意思のアカシックレコードはいらねーんだよ。


「優しいだけのつまらない男・・・むちゃくそ書いてやがんな」


ハマミが焼かれながら書いたであろう遺書を雑務(チームが演習で使った砲弾なんかの数を前年比・・・つか比やなんやでズラズラ並べ行動や職能の傾向を纏め少佐の電子秘書団()みたいのに渡す)の傍らザラメスプレッソで一服しながらだらだらと鑑賞している。


脳が煮えてきておかしくなった妄想が書かれてる・・・て感じか。


そーいやあいつ、前世でもほんっとに好きなモンからは三歩くらい離れて見てたもんな・・・外タレ(60ag)なんかも誰からも隠すようにスクラップブック(物理)とかコラ集とか作ってたし。


不義の息子、ジークを見せてやりたかったぜ・・・いや、発狂したかもしれんなヤバヤバ・・・



しかし奉仕の価値ってここまで変わるんか。


白人だから?



まぁ納得できるがセツねぇぜ・・・




「なぁにため息ついてんだよ」


どやどやと部下達が姿を表す。


「ん?・・・よぉ兄弟w」


六人とオレで二小隊規模のチームを組んでる同輩達だ。


「フフ、痴情・・・地上に降りてからもリールの七人の精戦士は健在だぜ」


「隊長殿、既に日は沈んでおります。ヴァルハラに集う時間なのでは?」


タカリに来たのか・・・まぁいいか。


「そうだな、折角の大地だ。俺達をエイリアンだ深海魚だと蔑むお嬢様方にゲイボルグをぶち込んでやるぞ!」


「おぉおお!!・・・おぉ・・・・・」


同輩部下達が声を萎ませながら後ろを向いてゆく。


そこには赤面しながら俺に非難の眼差しを向けるゼッタがいた。


「ごめん、あたし帰る」


そういうと彼女は俯き、なぜか目を潤ませながら去っていった。


「おいジュリアン、追いかけろって」


ぼー、とゼッタの背を見送る俺の背を兄弟が非難気に叩いてくる。


「え?いやだってヴァルハラのワルキューレ達が・・・」


「ばっかおまえ、ゼッタちゃんがほんまもんのワルキューレになっちまうだろ」


頭の中の全てを満たしていたコスプレ美女達との濃厚なエロエロ天国がフェードアウトしてゆく・・・・・


「ああ、じゃあ俺の名で・・・ツケが効くなら、やっといてくれ」


軍票()がいいならエアコムの部隊調整費用のフォルダを使えと指示し、ゼッタを追う。



「うらやましいよなあ、おれもあんなピュアな娘と仲良くなりてえぜ」


背中に部下の羨望を受けながら、前世で同じことを言った友人が彼女を作った後日になんでもかんでもすぐにメソメソ泣いてきてうざすぎると愚痴ってたことを思い出す。


・・・そいや数か月で「ガキ出来た・・・」と死にそうな顔で呟いて行方不明になったんだったわ。


つーか俺もそろそろ面倒だから切ろうかと考えてんのにジュリアンの性格なのか、なろうあるあるカラダに引っ張られるという奴なのか、いちいち多感な少女ぶるゼッタをやさしくキッチンペーパー・・・そう、今気づいたが宇宙世紀にキッチンペーパーなんてねーんだよあんだよこのキッチンペーパーてイメージは・・・とにかく全力でフォローしてやりたいと意識が湧き上がってきて・・・・・





・・・


・・・・・・


・・・・・・・・・ん?



「あ、おわりました?」


ホッケー神!


条件反射的な恐怖と冷や汗()でズブ濡れになる。


「とりあえず、拝次さん・・・お疲れ様です、おめでとうございました!」


金管のファンファーレが鳴り、いくつものくすだまが弾ける。


「パーフェクトコンプリート!これ以上ないエンディングをありがとう」


え?


「いや、俺は今ゼッタを・・・」


ホントはゼッタなどどうでもいいんだがつい言い訳的に呟いてしまう。


「ゼッタなら大丈夫ですよ、ほら」


オレ・・・ジュリアンがおむずがりのゼッタをそのまま壁に組み敷いてイタし始めている。


「はぁ~、まぁハナシが速いつっちゃそうだろうけどよ・・・」


屋外でヤルか。

ハタからみたら完全にレイプだぞ・・・


「・・・え?ジュリアンてオレじゃないの?」


「そうですね、彼の魂は常にあなたと一緒に居て・・・後ろから見ていた感じですかね」


「はあ?!マジかよ!天国云々はどーなってんだよ」


「いやいや、少なくとも現世で徳を積まなきゃ天国なんてないですよ勘弁してくださいwww」



「おまえ・・・俺にはウソ付けないとかっつー魔法かけときながら」


「ハハ、でもとくに強制力や代償系の負荷とかなかったでしょ?暗示みたいなモノですよ」


マジかよ・・・


「じゃーこれからアレか、ヤツは女どころか家族の全てを犠牲にしながらどこまでも堕ちていくっつーハードライフが開始されるワケか」


「フフ、そうですね。それはあり得ます」


俺はそのまま一回戦を終えて間もなく近くの倉庫へとシケ込み二回戦を始めた二人を・・・おい!そこ弾薬庫だぞ!


「でも、彼は感謝していましたよハイジ。あなたに」


「いや、弾薬庫・・・まぁ兵器、じゃない平気か」


膨張ガス系の炸薬は拳銃から大砲(無いが)まで重力子暗号で起爆をロックされてるから男女が腰振ったくらいじゃどーにもならんか。


「何度もここで、もうすべてはあなたに任せて自分は消滅でいいと語ってましたし」


「いや、死んでんだからさっさと・・・ん?ヤツも転生者なのか?」


「そうですね、ただ、あなたとは別の世界・・・この作品の中で生まれ、過去に転生したのですよ」


「ほーん」


「三度転生したのに、ゼッタひとり救えず同じ人生を送ったり死んだり・・・生まれなかったことにしてくれ、と言われ・・・非常に強く希われまして、はは」


ホッケー神の背中が煤けている。


「・・・あんた、なんでそんなにジュリアンに入れ込んでんだよ」


「ああ、だって私はこの世界を作った人間でしたから」


かわいいじゃないですか、自分が作ったモンなんだから・・・と一人ごちる。


ん?世界てアニメじゃん・・・作ったって、たしがガムダルシリーズは監督がストーリーとシナリオ、絵コンテ切って・・・あ。


「貧山監督かあんた!」


ホッケー部だったのか・・・



「欲望に踊らされて無為に死ぬなんてありふれてるじゃないですか。特に気にもかけず退場させたんですけど」


「あー、主人公に”おまえはゴミだ!害虫以下だ!”とか言わせてましたよね」


「アレは脚本の・・・あ、ホンはわたしか。声優さんのアドリブです」


そういや主人公のセリフを集めたコラ動画がめたくそおもろかったな・・・


「・・・なんか悪かったな。子供とかどうでもいいキャラ沢山生ませちまって」


つーか他人に作品イジられるてどーなん?


「いえいえ!」


めたくそオーバーリアクションで否定してきた。


「妻が三人、子が増える度にジュリアンの魂は階梯・・・レベルを急上昇させていきましてね、ほんとあなたには感謝しかありませんよ」


なに言ってんのかわからん・・・ま、ホッケー神にも神也の都合があるってコトか。


「彼も感謝しています、強く」


監督がジュリアンを向く・・・と三回目か五回目かわからんが、なにやら弾頭を上に立てた砲弾の上でプレイを開始している。


探求心が過ぎる気がするが・・・


「拝次、あなたはこの世界に未練は無いのですか?」


問われ、眼下でいまだサカリあう二人を見つめる。

おれはアレ・・・あのジュリアンほどあいつ・・・ゼッタを求めたことがあっただろうか。

妻や子供達、とくにジークに感じていた切なさの正体。


「・・・サカリまくってるあのジュリアンを見たら、な」


とりあえずゼッタそれなりに開発しといてよかったぜ。


そうだ、全部お前のモンだぞジュリアン。



ただ一つ、心残りがあるとしたら・・・いや、これだけは言っておきたかった。





妻と子供たちに、騙しててすまなかったと。

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嫁の呪いで男子系虚構世界のかませキャラへ転生させられてしまった プリオケ爺 @hanagehanage

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