明けがた
月下美花
明けがた
夜が明ける
僕はそれを
ずっと見ていた
砂浜でずっと
始まる前から
そのことだけ
そのひとつだけ
考えていた
太陽が沈んで
それがのぼりだした
ずっと見ていた
波引いて
ザザン
波押して
ザザン
僕の足を濡らす
ずっと見ていた
波引いて
ドブン
波押して
ドブン
僕の腰まで濡らす
ずっと見た
ササン……ササン
波の音しか
聞こえない
涙をのみこむ
それでも
ずっと見ていた
空に色が
つきだした
雲の紫が
吸い取られる
夜が
吸い取られていく
それでもまだ
見ていた
朝日がのぼる
もう会うと思わなかった
朝日が
僕は見るものを失った
初めて
下をみた
サラサラ光る
砂が無数にあった
この音だったのか
と思った
僕は
勇気をもらった
そして
それをじっと見た
明けがた 月下美花 @marutsuki
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます