第2話 幸せな恋愛
福山雅治につられて参加した飲み会は、思っていたより盛り上がり、久しぶりに胸がワクワクする気持ちを感じた。自分がこんな気持ちになるとは想像もしていなかった。
福山雅治の本名(本名というのはおかしい)は、サトシといった。
その夜私とサトシは連絡先を交換し、ほどなくしてサトシからデートのお誘いが来た。私とサトシは、酒好きなところが共通していた。今思えば、それ意外何も共通点が見当たらないが。その酒の力も借りてか、私たちは何度かデートを重ね、すぐに付き合うことになった。
サトシとは、ほぼ毎日会った。サトシは恋人とは毎日会いたいタイプの人だった。私は今までの恋愛経験上、気づけば相手に放置されて、そのまま自然消滅というパターンが多かった。自分でも理由はわからないが、いつも同じようなタイプの男性と付き合っては、自然消滅というサイクルが何年も続いていたので、こんな風にサトシが毎日私に会いに来てくれることが純粋に嬉しかった。
サトシとの交際は順調であっという間に3か月が過ぎた。一緒にいる時間がとても楽しくて、ずっと一緒にいたいとお互いに思うようになり、アラサーの私たちが結婚を意識し始めるのは自然な流れだった。
しかし幸せを感じる一方で、この頃からサトシの言動に時々、違和感を感じることがあった。
ある夜、私は友達と飲みに出かけていて、最終電車で帰ったことがあった。
久しぶりに友達と会って、時間を忘れて楽しんでいたのだ。
サトシと付き合い始めてから、すっかり友達と会う時間が減ってしまっていた。
途中、サトシから携帯に着信とメールが入っていたので、最終電車で帰る旨を返信し、家についてすぐに電話をしたのだが、サトシはとても機嫌が悪く、かなり怒っている様子だった。
サトシは「もっと早く帰ってこれただろう?」「女が最終電車で帰ってくるなんて危険だ」「もう大人なんだからそれくらい考えてほしい」と私を心配しているようで、なんだかちょっと違う、なんとも説明しがたい態度をぶつけてきたのだ。
私は、サトシの言い分に違和感を感じながらも、「自分は心配してもらってるのだ」、というように理解し、サトシに大切に想われていると思うようにした。
その日から、私は夜は早く帰らなければならないと思うようになった。あの時のサトシとのやり取りがずっと引っかかっている。気が付けば、サトシ以外の人と一緒にいるときは、今までのように楽しめなくなり、早く帰ってサトシに連絡しなければ、という思いを常に抱きながら生活するようになった。
パーフェクトファミリー スイセイ @Sui_Sei117
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