第3章 乗り越えた先に手にしたものは……。
第13話 書きたいものを書くという、基本中の基本。
この物語はフィクションであり、実在の人物・団体・事件とは、ほぼほぼ関係ありませんので、まあ、あんまり深くは気にしないで下さい。
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自分が書きたいものを書いていない。おれがそれに気づいたタイミングで『なったろう小説コンテスト』の一次通過が発表になった。
ほとんどの応募作は落選し、たったひとつだけ、一次選考を通過していた。
それは、初の短編作品の『千年も恋は続かない ~すれ違い幼馴染の不仕合せな結論~』だったのだ。
正直なところ、書いた本人としては、短編の3作品のうち、もっとも力が入っていないもの、という認識だった。
それが一次通過で、他のふたつはもちろん、長編連載も全て落選だ。
このサイト『小説家になったろう』でもっとも評価された短編は『NTR幼馴染フォールインヘル ~あんなに好きだったあの子が気持ち悪い~』である。
これは構成を一生懸命考えたし、アイデアも振り絞った自信作だった。
もうひとつは、『気の弱い元カレの未練旅断ち ~オレが前を向くには、あいつにぶちまけるしかない~』で、小説を書く、という技術面では、この作品が一番よくできたと自分では考えていた。
ところが、実際の賞レースでは、一番ダメだろうと思っていたものが一次通過なのだ。
おれは、自分の力量と自分の見る目を疑うだけでなく、それよりも、他者からの評価は受け止めるが、それをあまり気にしないことも大切なんじゃないかと思い始めていた。
ネット小説は山ほど存在していて、おれが書いたものが読んでもらえるかどうかは、わからない。
多くの人に読んでもらえるようになるには、ランキングも重要なのだろう。
しかし、そこにこだわりすぎて、自分が書きたいものを書かないのは本末転倒なのだ。
書きたいものを書く。その基本を大切にする。
その上で、書き上がったものを応募したり、公開したりして、そこで受けた評価をただありのまま受け止める。
それで、いいんじゃないか?
そう考えたおれは、今、自分が書きたいものを書き、それをまた、「評価シート」がもらえる小説賞に応募しようと、そう、考えたのだった。
とにかく書きたいものを書き上げて、それを小説賞へ出す。
そう思って書き綴ったものが『ランドクルーザー男爵夫人の成り上がり ~高位貴族って本当に面倒なんですもの。困るわぁ~』だった。
残念ながら途中で、小説賞の応募規定の文字数と枚数を超えてしまったので、応募作にはできなくなってしまった。
どうするか、と悩んだところで、物語を書き終えるまであと少し、というところ。
書きたいものを見つけるために自分の好きなことをしようと、休暇をがっつりと詰め込んで長期旅行を計画していたこともあって、あと少しだけ、どこかで書けたらいいか、と、旅の荷物にノパソを詰め込んで、書き上げたところまでを『小説家になったろう』に予約投稿してから、旅に出た。
JR東日本とJR北海道が発売している普通車のフリー切符で、東日本をぐるっと旅する約半月の旅だ。
きっと自分探しになるはずだ、と。
泊まるホテルは全てWiFi完備なので、ノパソを起動すればネット接続に問題はない。
2022年7月1日のスタートで、1日1話、12時更新での公開だった。書き終えていた22話まで、とりあえず予約投稿済みだ。
宮城から岩手へと入り、世界遺産の平泉を回っている頃、『ランドクルーザー男爵夫人の成り上がり ~高位貴族って本当に面倒なんですもの。困るわぁ~』の連載が『なったろう』でスタートした。
まあ、そんなことは関係なく、電動アシスト付き自転車で平泉を爆走していたのだが……。
連載途中でランキングの上位にいたこともあったらしいのだが、おれは旅行中で、そこまで細かくチェックはしていなかった。
そういう、放置プレイ的なことができたのも、書きたいものを書いたから後悔はない、という精神的な余裕があったからだろう。
充実した長期旅行を終えて戻ってくると、自然と、心のリフレッシュはできていた。
公開中の『ランドクルーザー男爵夫人の成り上がり ~高位貴族って本当に面倒なんですもの。困るわぁ~』は7月22日までの毎日更新で22話まで公開しており、旅行から帰ってきて最終話を書き終えて、7月26日に完結させた。
翌日の7月27日の朝には文芸・SF・その他異世界転生/転移ランキングBEST300において、日間5位、週間10位、月間15位となかなかの上位に。
さらに、昼には日間2位へと躍進。
その夕方からは日間1位にしばらく留まり、28日の朝には月間10位でジャンル別の表紙入り、30日の朝には週間でも1位と、長く上位に居座った。
そのまま8月4日の朝まで日間1位をキープして、その昼と夕方は2位にひとつ順位を下げたものの、8月5日の朝にはまた日間1位に返り咲き、8月9日の朝は、日間1位、週間1位、月間1位の揃い踏みとなった。
おれは、自身初となる、ジャンル別の月間1位を達成したのだった。
書きたいものを書いた上での、ジャンル別月間ランキング1位という、自分なりの栄冠。
それは、ある意味では、おれが一番なりたかった姿なのだと、心から思えたのだ。
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あとがき失礼いたします。
作中にある、
『ランドクルーザー男爵夫人の成り上がり ~高位貴族って本当に面倒なんですもの。困るわぁ~』
につきましては、検索しても見つからないと思います。
ただし、これとよく似た名前の、
『フォレスター子爵夫人の成り上がり ~高位貴族というのはとても面倒なので本当は関わりたくありませんけれど、お金がもらえるのなら仕方がありません。精一杯努力することに致しますわ~』
につきましては、
https://kakuyomu.jp/works/16817330659799867509
へとアクセスすれば、読むことが可能です。
作品名はとてもよく似ていますが、この物語はフィクションですのでご注意下さい。
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