第14話 重要なのはモチベーションなのだと気づく。
この物語はフィクションであり、実在の人物・団体・事件とは、ほぼほぼ関係ありませんので、まあ、あんまり深くは気にしないで下さい。
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問題は、「評価シート」を目的に目指していた小説賞への応募作が書けていないことだった。
これに出す予定で書いていた『ランドクルーザー男爵夫人の成り上がり ~高位貴族って本当に面倒なんですもの。困るわぁ~』は既に『小説家になったろう』で公開してしまったのだから応募できない。
そうすると、どうすべきか。
この小説賞に、出すや、出さざるや。
そんなことを悩みつつも、何か、本当に書きたいものはないかと、自分自身の中で探っていく。
その間は読んで、読んで、読みまくる読専と化した。
そうするうちに、ふと、ダンジョンものが書きたいという気持ちが湧いてきた。その気持ちを整理していくと、次々と設定が浮かんでくる。
浮かんできた設定をそのまま書き殴っていき、ダンジョンがある世界がどんどん構築されていく。
ダンジョンがあることによって、世の中はどうなってしまうのか。そんな世の中で暮らす人々はどんな人たちなのか。
そうやって、ひとつの世界がある程度、形を見せた瞬間。
それを文章にしよう、という意欲が生まれた。おれの中に、はっきりと、だ。
ただし、そうなったのは2022年10月16日で、「評価シート」がもらえる小説賞の〆切は10月31日だった。
あまりにも動き出しが遅すぎた。でも、これはおれの心の問題なのだ。どうしようもなかった。
この世界について語りたい。この世界で生き抜く大変さを伝えたい。
その思いだけでひたすら書き殴っていく。ろくに推敲もしていない。次から次へと指が動くままに書き進めていく。
気がついたら規定枚数を書き終えていて、応募を済ませていた。それは10月22日のことだった。
たった1週間。それだけで書き上げてしまった。
……設定とモチベーションがあれば、驚くようなことができてしまう。
モチベーションの重要性。それを思い知った。
応募作を書き上げたというのに、書きたいという意欲が消えていかない。ものすごい勢いで書いてしまったからかもしれない。モチベーションの塊が自分の中で蠢いているのを感じる。
そのまま、同一場面、同一時間、共通する登場人物で、同時に行われていた別の物語を指が動くままにひたすら書き殴っていく。
気付けば、この二作目も、応募締め切り前に書き上げてしまった。
応募するか、『小説家になったろう』で公開するか、どうするべきか、悩んで。
小説賞の運営にもメールで相談した上で、〆切直前の10月31日に、この2作目も応募したのだ。
こうして、『リアルダンジョンとタイムアタック ~RDTA~』と『リアルダンジョンとタイムアタック ~RDTA、チートなし~』の2作品が出来上がったのだった。
たった半月の出来事だった。これまでの書けなかった時間から考えると、信じられないような勢いでの執筆だった。
応募を済ませても、書きたいという意欲は失われず、さらに、そのまま続きを書き殴った。没頭するというのは、こういうことなのかもしれない。
書いても、書いても、物語が終わらない。もっと言えば物語が進まない。『学園物はエタる』という説の有力さを感じた。どこかで終わらせないと終わりそうもない。
既に文庫2冊分を応募し、そこからさらに3冊目、4冊目にあたる文量を書き終え、それでもキーボードを叩く手が止まらないのだ。ある意味では異常だ。
7月の『ランドクルーザー男爵夫人の成り上がり ~高位貴族って本当に面倒なんですもの。困るわぁ~』以降は、応募したものだけで、作品の公開はしていないため、心配してくれた友人からも連絡が入ったりした。
その間にも、『ボインの伝説』はタグで応募した小説賞の一次選考を抜けては、その先には残れないということを繰り返していたのだが、おれはいつの間にか、そのことに大したダメージは受けなくなっていた。
書きたいものを書いた。それが認められなかったからといって、どうしたというのか。自分の中の物語は生み出せたじゃないか、と。
そんな風に思えるようになりつつあったのかもしれない。
そうして、『リアルダンジョンとタイムアタック ~RDTA、トレーニングSIM~』の前編と後編、『リアルダンジョンとタイムアタック ~RDTA、マネジメントSIM~』のその1とその2まで書き終えて、ふと我に返ると、もう年末になっていた。
「……この年末は、久しぶりに実家で過ごすか……」
そんなことを思いついた時は、『ボインの伝説』での熱い戦いから2年が経っていたのだった。
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あとがき失礼いたします。
作中にある、
『リアルダンジョンとタイムアタック ~RDTA~』
につきましては、検索しても見つからないと思います。
ただし、これとよく似た名前の、
『RDW+RTA ~リアルダンジョンズワールド プラス リアルタイムアタック~』
につきましては、
https://kakuyomu.jp/works/16817330655674198261
へとアクセスすれば、読むことが可能です。
作品名はとてもよく似ていますが、この物語はフィクションですのでご注意下さい。
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