三 祠
それほど急ではないが非常に狭い石段となっている。
一つ幸いなのは、ぬかるんだ土の坂ではないということ。石段ならば、履物を甚だしく汚すようなことはなかろう。しかし、ところどころの石が割れたり欠けたりしており、
欠けて斜めになった石の上、しかも、湿った苔が覆う段々を踏んで行くと思うと、滑りはせぬだろうかと、いささか
それでも、自分には行かねばならぬとの強い思いがある。思いというより、むしろ怖れである。
なぜそう思うのかは、吾ながら判っているようで、
何にしても、こうやって滑らぬよう、一歩一歩踏みしめながら昇って行くしかない。
なお、この祠に
ただ、かつてはそうではなかったのだろう。石段の脇には、かすかに朱の色が残る丸木の残骸が、茸や苔に蝕まれ朽ちつつある。要するに、これらが倒れた後に新しいものを寄進する人が誰もいなかったものと見える。
何だろう? 見遣ると、随分と大きな
本来の草鞋虫から、愛らしさの要素を
そうするうちに、自分が昇るべき石段も、ようやく残り数段となった。
はて、これは?
ふと認識される、ある種の強い違和感――
どうもこれは、普段とは違う。
何やら、どうも、明るすぎる――
<続>
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