五 新聞紙
あれを最初に見付けたのは昨日の朝だった。
もともと、
ここの近くに越して来たのは昨年のこと。
それから一年足らずの間に、色々なことがあった。それらの多くは、思い出したくもないようなことばかりだったが、数ヶ月前に、あるきっかけで、この場所を見付けた。
それ以来、ここで
ところが、昨日の朝、祠の裏で妙な物を見付けてしまった。
何かを
近寄ると、隙間から覗いているものがある。
指先でそっと紙を
――赤ん坊である。人間の
固く両目を閉じたまま、半ば開いた口は、既に息をしていないらしい。
産み落とされて、まだ幾らも時間が経っていないことが見て取れた。
早産の胎児であろうか。
手も足も完全に備わっているのだが、全体が大人の両手に納まる程の大きさで、普通の
厭なものを見てしまった。
再び、半ば新聞を被せるようにして、そのまま、そそくさと境内を後にした。
さて、どうしたものか。
まず、頭に浮かんだのは、駐在に届くべしとの尋常な判断である。
しかし、そこはそれ、巡査などには近付きたくもなかった。
どうも藪蛇になりかねない。
この尋常ならざる案件との、何らかの
そうなっては――まあ、
しかし、それにしても……
<続>
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