ハロワでバトル②40歳すぎ大学院卒の男がハロワにいくと、聖闘士〇矢やカ〇ーユ。

冒険者たちのぽかぽか酒場

第1話 ハロワのリアル。ハロワにいって、20歳代の子に求職相談をしたら、こうなった。今の人材不足日本だと、マジである話ですぜ。

 ハロワのミステリーは、続く。

 「相談、お願いします」

 キラキラ世代に頭を下げる、ツバキ。

 40歳。

 大学院卒の男子、ツバキ。

 長男を育てていかなければならないこの大切な時期に、無職になってしまった身だ。

 負けるな、ツバキ。

 ハロワの相談員が、20歳台の子だったことがありますか?

 「あなた、大学院卒?」

 「…え、あ、はい」

 「ふうん」

 「真剣に、仕事を探しているんです!」

 「マジ、ウケるんですけど!」

 「…は?」

 「どんな教育を受けたら、大学院卒でハローワークに仕事を探しにくるわけですか?」

 「…それ、今は、関係ないじゃないですか!」

 「マジで?やば。キモ。あり得ない」

 「…」

 「派遣でここきている私が、かわいそー。超、あり得ない。はい。相談、終わり」

 「あの。派遣でここにきた、って…?」

 ある。

 こういうこと、あるからね。

 コームインの世界も、変わった。

 コームインも、非常勤職員が増えた。

 人手不足は、コームインの世界も変わらない。この相談員の子のように、派遣会社からの埋め合わせにくる職員もいる。

 それが、この子っていうことか。

 …どうして、就職氷河期世代を、雇ってあげなかったんだろう。

 今言っても、遅い?

 「相談、終わり。もう、帰って」

 「…」

 本当なら、ツバキは、こう言ってやりたかった。

 「あなたは、派遣会社からきた非常勤だろうと、国家公務員の身分なのですよ?今、国民の税金が、あなたの財布に入っていっているんですよ?わかっているんですか?」

 言っても、無駄か。

 あきらめて、バブルなおじさん職員に相談。

 そうしたら、やっぱり、こうなった。

 「あなたは、何?大学院を出て、無職なのですか?大学院を出れば、末は、博士か大臣でしょう?私の知り合いにも、大学院卒が、いましたがねえ。金持ち定年退職なんですよ?」

 「…」

 お前の知り合いのことなんか、知るか。

 「大学院を出て仕事がないとは、どういうことですか?」

 それも、知るか!

 だから、仕事の相談にきているんじゃないか。

 「燃え尽きたよ。真っ白にな…」

 歩いて、帰宅。

 ぼんやりと。

 外はもう、暗かった。

 「しまった!トモダチ〇コ!」

 はっとする、ツバキ。

 ハロワには、車で、やってきていたじゃないか。

 どうするよ?

 駐車した車を取りにいくためだけに、一旦帰った自宅から、ハロワまで歩いていくしかない。

 ハロワに着いたときには、駐車場に、チェーンがかかっていた。

 チェーンをくぐって、車を探す。

 「ポクポクポク、チーン…」

 すぐに、発見。

 「そこか!」

 鍵を開けてもぐり込んだ運転席は、いやな空気で、一杯だった。

 「コスモを、燃やせ!」

 月が、出ていた。

 だめだ!

 駐車場の入り口にチェーンがかかっていたら、出られないじゃないか!

 「誰か…。ここから、出してくださいよ」

 泣きながら、笑えてきた。

 「あははは…大きい」

 駐車場のランプは、宇宙のまたたき。

 「彗星(すいせい)かな?いや、ちがう、ちがうな。…彗星(すいせい)は、もっと、バアーって動くもんな!」

 初期のカミーユの、ように。

 ちなみに…。

 「カミーユって、だれ?」

 それ言われたら、この話は、キツイな。

 「暑いな…。暑苦しいな、ここ」

 泣けた。

 「おーい、出してくださいよ!ねえ!」

 …。

 ぼんやりと運転席に座っていると、守衛の男性が、飛んできた。

 「どうしました?」

 「ここから、出してください!」

 ようやく、駐車場から車を出してもらう。

 「空が、見える…」

 涙。

 「ようやく、帰ることができるんだ。こんなにもうれしいことは、ない」

 いくつもの、初期のアニメのように。

 意味がわからない人は、ごめんなさい。





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